データドリブン経営とは?進め方や事例も解説 -
技術の進歩で多くのデータを収集・分析できるようになり、あらゆる意思決定をデータに基づき行う「データドリブン」という概念も徐々に浸透してきました。経営においても、データドリブン経営として、データに基づき意思決定をする企業が出てきています。しかし、データドリブン経営のメリットとデメリットがよくわからない方も一定数いるのではないでしょうか。また、データドリブン経営を実践している企業の事例があれば、データドリブン経営を取り入れたい企業にとっては参考になることでしょう。
そこでこの記事では、データドリブン経営の意味や進め方、さらにはデータドリブン経営を取り入れている事例を解説します。
データドリブン経営とは?
データドリブン(Data Driven)は、ビジネス上のさまざまなデータを起点に、意思決定を行なっていくことです。よって、「データドリブン経営」は、勘や経験ではなくデータの分析結果に基づいて経営戦略・方針を決めることです。ここでは、データドリブン経営への理解をさらに深めるために知っておきたい知識として、以下の2つを解説します。
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- データドリブンとデータ活用の違い
- データドリブンとDXの関係
それでは、1つずつ解説します。
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データドリブンとデータ活用の違い
以下に4つ、データドリブンとデータ活用の違いを表にまとめます。
データドリブン | データ活用 | |
データの活用シーン | 全ての意思決定・業務遂行がデータに基づく。 | 必要に応じてデータを参照・活用する。社内業務に加え、ユーザに提供するサービスにデータを活用することも含む。 |
データ収集・分析を担うメンバー | 全メンバーがデータの集計・分析を実施でき、必要となったメンバーが自ら実施する。 | データの集計・分析担当者がおり、ほかのメンバーは担当者がすでに集計・分析したデータを活用する。 |
データ作成・参照を行うタイミング | 最新データを、いつでも誰でも参照できる。 | 日次・週次などのスパンで蓄積されてきた、過去データを参照する。また、ユーザへのサービスにデータを活用する際にも、データを参照する。 |
内容と種類 | 部署や階層問わず、同じデータを参照・活用する。ただ、参照・活用する観点は部署や活用シーンで異なる。 | 部署や階層によって、参照・活用するデータ自体が異なる。 |
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データドリブンとDXの関係
データドリブン経営に向けた取り組みは、自社のDX推進にもつながります。なぜなら、データドリブン経営の実現には、効果的なデータ分析が可能な環境の整備が欠かせないからです。効果的なデータ分析を行うには、データのデジタル化やデータ分析基盤の整備が欠かせません。さらに、データに基づいた事業の展開が可能になり、デジタルによって競争優位性をもたらすDXが加速します。
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データドリブン経営のメリット・デメリット
ここでは、データドリブン経営のメリット・デメリットとして、以下に3つずつ解説します。
メリット
データドリブン経営のメリットを、3つ表にまとめます。
精度高くかつ迅速に意思決定できる | あらゆる経営データをリアルタイムで分析することで、迅速かつ精度の高い意思決定につなげる。 |
情勢変化にもいち早く対応できる組織になる | 変化の激しい現代社会において、データに基づきいち早く情勢の変化を察知し、柔軟に対応する。 |
商品開発や業務改善を促進できる | データに基づき顧客ニーズや商品・サービスの課題を可視化することで、商品開発や業務改善を促進する。 |
デメリット
データドリブン経営のデメリットを、3つ表にまとめます。
データを取り扱える人材が必要 | 全ての意思決定がデータに基づくため、データの取り扱いとビジネス両方の知見を有する人材が必要になる。 |
設備投資 | 分析ツールやデータベースなどのデータ環境を用意するため、設備投資が必須になる。 |
一定以上データが蓄積されていないと精度を確保できない | データが一定以上蓄積されていないと、高精度で分析ができない。 |
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データドリブン経営を実現させる進め方
ここでは、データドリブン経営を実現させる進め方として、以下の4つを解説します。
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- データドリブン経営のロードマップを策定
- データドリブン経営を推進するための教育・社内普及計画策定
- 成功事例の共有
- データドリブン経営に必要なマインドを定着
それでは、1つずつ解説します。
データドリブン経営のロードマップを策定
最初に、データ活用目的を明確にし、必要なデータや設備、さらにはどのようにデータドリブンな文化を組織に根付かせていくか、ロードマップを作成しましょう。これによりアクションプランが可視化され、データドリブン経営を実行する道筋が明確になります。
データドリブン経営を推進するための教育・社内普及計画策定
データドリブン経営を推進するには、社内の各部署でデータドリブン経営の推進に参画できる人材を増やす必要があります。そのため、各部署からデータドリブン経営の先生役になるメンバーを選出するなど、教育・社内普及計画を策定しましょう。これにより、社内でデータドリブンに対する情報共有がツリー上に広がってゆき、各部署で活用するための知見が蓄積されていきます。
成功事例の共有
データドリブン経営の成功事例を蓄積・共有することで、社内のモチベーションアップになる上に、参考事例としても活用できます。
データドリブン経営に必要なマインドを定着
データドリブン経営の重要性や成功事例を繰り返し説明し、実際に業務に取り入れることを推進して、データドリブン経営に必要なマインドを組織に定着させましょう。これにより、メンバーがデータドリブン経営を理解して積極的になり、役割を明確にすることで全社的に推進できるようになります。また、自社の現状や課題もデータで可視化すると、一層データドリブン経営に積極的になるでしょう。
データドリブン経営の事例
ここでは、データドリブン経営の事例として、以下の4つを解説します。
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- 小売業界
- 旅行業界
- 不動産業界
- 運送業界
それでは、1つずつ解説します。
小売業界
小売業界のA社は、社内全体でデータ活用を推進する意識が元々高く、データを店舗の商品ラインアップ決定やレイアウト立案などに役立ててきました。これにより、顧客ニーズへの対応に寄与しています。また、勘や経験ではなくデータを重視することで、優秀な若手社員も上司や役員と対等に議論しやすい土壌作りに成功しました。その結果、10年以上連続で過去最高益を更新するなど、業績も好調です。
最近では、これまで中心に使ってきたExcelではデータ処理が限界に達しつつあるため、BIツールやプログラミングによるデータ分析ツールへシフトしています。これにより、より高速なデータ処理が可能になり、データドリブン経営の進化が期待されます。
旅行業界
旅行業界のB社は、いち早く旅行パッケージのインターネット販売を始めるなど、デジタル活用に積極的な企業です。最近では、データサイエンス専門部署を立ち上げ、量的分析・質的分析を取り入れて顧客理解を深め、顧客ごとに最適な宿泊プランの提案などに活用しています。
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不動産業界
不動産業界のC社は、デジタル戦略専門部署を立ち上げ、既存ツールの見直しや新しいツールの導入などに取り組んできました。例えば、CRMやSFAを効果的に活用することで、取扱物件数を1.5倍に増加させ、Web経由の商談獲得数も倍増させることに成功しました。また、最近ではデータ分析とAIを用いたビジネス形態も模索しています。例えば、AIを用いて土地の査定を行うことで、スピーディーな取引を目指しています。
運送業界
運送業界のD社では、データ可視化基盤を導入し、各部署に応じたデータの可視化を実現するダッシュボードを作成しました。その結果、社内に散在していたデータを速やかに集計・可視化できるようになり、データ分析も容易になりました。また、データを基に新たな発見が生まれるなど、ビジネスにも確実に好影響が生じています。
まとめ
本記事では、データドリブン経営の意味や進め方、さらにはデータドリブン経営を取り入れている事例を解説しました。データドリブン経営では、データ活用と違い全ての意思決定・業務遂行がデータに基づき行われます。精度高くかつ迅速に経営判断ができる上に情勢変化にもいち早く対応できるメリットがある反面、データを取り扱うには人材や設備投資が必須であることが注意点です。
データドリブン経営を進めるには、ロードマップの策定やマインドの定着がポイントです。また、成功事例の共有も有効です。本記事でもデータドリブン経営の成功例を紹介しているので、必要であれば活用してみてください。
なお、インキュデータでは、データドリブン経営に資する豊富なノウハウを有しています。社内でデータドリブン経営を推進するためのコンサルティングサービスに興味がありましたら、一度ご検討ください。
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