データベース設計とは?設計する目的・流れ・ポイントについて詳しく解説! -
デジタル変革の時代、マーケティング担当者として日常的に扱うデータの量や質が増えているのを感じるのではないでしょうか。DXやデータサイエンスの進展に伴い、データ管理の重要性が今まで以上に高まっています。
しかし、データベースをただ導入するだけでは十分ではありません。企業が真にデータを活用するためには、その背後にあるデータベース設計が鍵となるのです。では、具体的にデータベース設計とは何なのか、その目的や設計の流れ、ポイントはどのようなものなのでしょうか。
そこで今回は、データベースの設計に関する概要を設計する目的・流れ・ポイントを中心に解説していきます。マーケティングの現場でのデータ活用をさらに向上させるための重要な知識を身につけていきましょう。
データベースの設計とは?
データベースの設計とは、情報の整理や管理の方法を設計することです。この過程で、データの構造や関連性、取得方法などが定義されることになります。正確で効率的にデータの検索や更新を可能にするため、設計は非常に重要です。
データベースの設計段階では、どのような情報を保存するか、その情報同士の関連性はどうか、どのようにアクセスするかなど、多岐にわたる要素を検討します。これにより、後々の運用や拡張がスムーズに行えるようになります。正確な設計を行うことで、情報の取得速度やデータの整合性が保たれ、ユーザにとって便利なデータベースが完成します。
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データベースを設計する目的
ここでは、データベースを設計する目的について解説します。
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- 業務効率化
- 業績向上につながる示唆を得ること
それでは、1つずつ解説します。
業務効率化
データベースを設計する目的の1つ目は、業務効率化です。
社員が日常の業務で遭遇する情報の検索や更新、登録などのタスクは、データベースの設計によって大きく影響を受けます。例えば、不適切なデータベース設計のために情報検索に時間がかかったり、データの不整合が生じたりすると、業務時間の増加や本来不要な業務が発生しかねません
逆に、正しく設計されたデータベースは、社員が必要とする情報を正確かつ迅速に取得できるようになります。これにより、社員はほかの重要な業務に集中でき、全体の生産性が向上します。さらに、情報の整合性や正確性も保たれるため、業務の質も向上すると期待されます。
業績向上につながる示唆を得ること
データベースを設計する目的の2つ目は、業績向上につながる示唆を得ることです。
自社の環境や業務ニーズに合わせたデータベースの構築をすることで、顧客情報や売上情報のようなビジネスにとって価値のあるデータを効果的に活用できます。例えば、顧客情報を適切に管理することで、顧客の購買履歴や嗜好を基にしたマーケティング活動やサービスの提供が可能となります。
また、売上情報を正確に収集・分析することで、売れ筋商品の特定や在庫管理の最適化、さらには販売戦略の立案などに活用できるため、業績向上につなげることが可能です。
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データベースの設計で覚えておくべき要素
ここでは、データベースの設計で覚えておくべき要素について解説します。
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- エンティティ
- 属性
- 関係
- 関連の多重度
- エンティティ
それでは、1つずつ解説します。
エンティティ
データベースの設計で覚えておくべき要素の1つ目は、エンティティです。
エンティティは、具体的には「顧客」や「商品」といった業務上で管理したい主要な情報のカテゴリや概念を指します。これはデータベースの基本的な構造を形成する要素であり、どのようなデータを保持し、どのように関連付けるかの基盤となります。
エンティティの洗い出しは、データベース設計の初期段階で行う重要な作業です。この段階で必要な情報をきちんと特定し、整理することで、後の設計過程でのミスや手戻りを大幅に減少させることができます。不足していたエンティティを後から追加することは、設計の再検討や実装の変更といった追加のコストや時間を必要とするため、初めに漏れなく洗い出しておくことが求められます。
エンティティを正確に洗い出し、それを基にデータベース設計を進めることで、業務ニーズに合わせた効率的かつ品質の高いデータベースの構築が可能となります。
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属性
データベースの設計で覚えておくべき要素の2つ目は、属性です。
属性とは、あるエンティティに関連する項目のことを指します。これは、エンティティが特定されたときに同時に判明する情報を指します。例として、通販の商品カタログで商品を選ぶとき、その「商品名」や「価格」は商品の属性となります。簡単に言えば、エンティティを特定すると一緒に得られる情報がその属性です。
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関係
データベースの設計で覚えておくべき要素の3つ目は、関係です。
関係(リレーション)とは、結び付きのあるエンティティ同士を結びつける概念です。例えば、顧客管理の業務において「顧客」と「契約」というエンティティは互いに関係しています。データベースの文脈では、関係はテーブルとテーブルの間に存在する共通の項目を示すものとして理解されます。関係は異なるエンティティやテーブル同士のつながりを示すものです。
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関連の多重度
データベースの設計で覚えておくべき要素の4つ目は、関連の多重度です。
関連の多重度とは、関連するエンティティ同士の相対的な位置付けを明確化する概念です。データベース設計の4大要素の中でも特に重要な要素とされています。関連の多重度は、あるエンティティからもう一方のエンティティを考えたとき、その関連性が1対1、1対多、または多対多など、どのような関連性を持っているかを示すものです。つまり、エンティティ間の関連の「数量」を示す指標として理解されるものです。
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データベースの設計の流れ
ここでは、データベースの設計の流れについて解説します。
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- 概念設計
- 論理設計(正規化を実施)
- 物理設計
それでは、1つずつ解説します。
概念設計
データベースの設計の流れの1つ目のステップは、概念設計です。
概念設計は、データベースで扱う情報の特定と、そのデータ管理の構造を定める作業です。これは、システム開発の要件定義と同時に進められることもあります。概念設計の段階で、何をデータとして保持し、どのように構築するかの基本的な方針が決まります。
具体的には下記になります。
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- データベースの目的・要件を決定
- 必要な情報を整理してエンティティを抽出
- ER図(Entity Relationship Diagram)を作成
それでは、1つずつ解説します。
データベースの目的・要件を決定
1つ目は、データベースの目的・要件を決定することです。具体的には、データベースを利用するユーザがいつ、どのような状況でそれを使用し、どのような情報を保管・管理したいのかを洗い出します。この情報は、実際のデータベースの設計や構築の際の基盤となります。
要件定義の過程が不十分または不適切であると、後のフェーズでの修正や変更が必要となり、それがシステム開発のコスト増や運用時の問題となるリスクを招きます。
したがって、データベースを活用する予定の業務内容や要件を十分に理解し、それを反映した概念設計を行うことが非常に重要となります。
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必要な情報を整理してエンティティを抽出
2つ目は、必要な情報を整理してエンティティを抽出することです。
具体的には、現行で使用されているドキュメントの情報源を基に、必要なデータの洗い出しを行います。例として、企業が保有する発注書や顧客情報の台帳を調査することを考えます。これらの資料から、顧客の名前や住所、電話番号といった基本的な情報を抜き出します。
そして、将来データベースから取り出して使用する可能性があるレポートや配信セグメントの内容を想定し、どのような情報がデータベースに保存されるべきか、どの情報が不要であるかを明確にします。
ER図(Entity Relationship Diagram)を作成
3つ目は、ER図(Entity Relationship Diagram)を作成することです。
必要なエンティティを抽出した後、それらを基に「概念データモデル」を構築します。このとき、エンティティ同士の関係性を視覚的に表現するために「ER図」が頻繁に使用されます。
ER図は、「エンティティ(Entity)」と「リレーションシップ(Relationship)」の略で、エンティティ間の関連を示す図です。中小規模のシステムではエンティティが数十個程度でも、大規模なシステムでは数百個にも及ぶことがあり、これらを単独で把握するのは難しい場合があります。
このような場合、ER図はシステムの構造や関係性を迅速に把握するための有効なツールとなります。また、ER図の作成に特化したツールも市販されているので、活用すると効率的です。
論理設計(正規化を実施)
データベースの設計の流れの2つ目のステップは、論理設計(正規化を実施)です。
論理設計は、主に概念データモデルをさらに詳細化・具体化するプロセスです。概念データモデルはデータの構造や関連性を大まかに示すもので、論理設計では概念データモデルを基に、実際のデータベース環境で実装可能な形に詳細設計を進める作業をします。
例えば、論理設計の際には、どのようなテーブルやカラムを持つべきか、エンティティ間のリレーションシップはどうあるべきか、といったデータの具体的な構成や関連性を決定します。
また、データの重複や不整合を避けるために、テーブルの設計を整理するプロセスである正規化を実施します。正規化を実施することで、同じ情報を複数のテーブルで重複して保存することを避けたり、データの矛盾を排除でき、データの整合性や効率性が向上します。
物理設計
データベースの設計の流れの3つ目のステップは、物理設計です。物理設計は、データベース設計の最終段階で、論理設計で詳細化されたデータモデルを、具体的なデータベースの運用環境やハードウェアに合わせて最適化する作業を指します。
具体的には、下記が物理設計の内容になります。
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- 性能要件の確認
- インデックス作成
- データ格納領域の決定
それでは、1つずつ解説します。
性能要件の確認
1つ目は、性能要件の確認です。
性能要件とは、データベースが実際に運用される際の動作基準や期待される性能を指します。例えば、「どれだけのデータが定期的にデータベースに追加されるのか」を知ることで、将来的なデータの増加を考慮したストレージの容量計画や、データの追加・更新に対するシステムの耐性を検討します。
このような情報がないと、データが増えた時にデータベースの動作が極端に遅くなる、またはシステムがダウンするリスクが高まります。
また、「同時に何人のユーザがアクセスするのか」を確認することで、ピーク時のアクセス負荷を予測し、その負荷を支えるためのサーバリソースやネットワークの設計を行います。多数のユーザが同時にアクセスする状況を想定せずにシステムを構築すると、予期せぬトラブルや性能低下の原因となります。
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インデックス作成
2つ目は、インデックスの作成です。
インデックスとは、データベース内のデータを高速に検索するための仕組みで、目次や索引のような役割を果たします。
データベースに格納されているデータが少量の場合、検索にかかる時間はそれほど気にならないかもしれません。しかし、データ量が増加すると、一つ一つのデータを順番に調べる通常の検索方法では時間がかかってしまいますが、このような状況でインデックスが役立ちます。インデックスは、特定のカラムやカラムの組み合わせを基に、データの格納場所を迅速に知ることができる構造を持っています。
例えば、本の索引を使って特定のキーワードのページをすぐに探すのと同じように、データベースのインデックスも特定のキーに基づいてデータの場所を高速に特定します。その結果、検索やデータの参照が大幅に速くなり、システムのパフォーマンスが向上します。
しかし、インデックスはデータの追加や更新時に再構築される必要があるため、むやみにインデックスを作成すると、その再構築によるオーバーヘッドが生じることもあります。そのため、必要な場所に適切にインデックスを設定することが求められます。
データ格納領域の決定
3つ目は、データ格納領域の決定です。
これはデータベースで管理するデータを保存する場所、すなわちディスク上の領域をどのように確保するかを計画する作業を指します。
前段階の性能要件で確認したデータの容量を基に、それを十分に格納できるデータ領域の大きさを計算します。例えば、将来的に何ギガバイト、何テラバイトのデータが予想されるか、その増加率はどの程度か、といったことを前提としてデータ領域の確保を検討します。
また、ハードウェアの仕様も検討事項となります。使用するストレージの種類や性能、RAID構成などの技術的な要因が、データの読み書きの速度や可用性に影響を及ぼすため、これらを踏まえて最適な配置や領域の大きさを定めます。
さらに、物理的な配置も重要です。例えば、頻繁にアクセスされるデータとそうでないデータを同じディスクに配置すると、アクセスの競合が発生して性能が低下する可能性があります。そのため、データの性質やアクセス頻度に応じて、適切な場所にデータを配置することが求められます。
このように、物理設計の段階でのデータ格納領域の決定は、データベースの性能や安定性を確保するための重要なステップとなります。
データベースの設計を行うポイント
ここでは、データベースの設計を行うポイントについて解説します。
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- データベース導入目的の明確化
- 構築するシステムの要件・仕様を理解
- 正規化を行う
- 要件にない仕様を想定する
- 将来性も検討する
- データベース導入目的の明確化
それでは、1つずつ解説します。
データベース導入目的の明確化
データベースの設計を行うポイントの1つ目は、データベース導入目的の明確化です。
これは、データベースを効果的に機能させるために必要なことです。例えば、商品の販売履歴を追跡する目的であれば、トランザクションの詳細を保存する構造が必要となります。
また、目的が明確になれば具体的な用途や利用シーンを想定できるため、必要なデータの種類や関連性、アクセスの頻度など、多くの詳細を洗い出すことができます。
その他、目的を明確にすることでデータベースを利用する部署やその部署が必要としているデータやユーザの数も把握できるでしょう。例えば、営業部が主に利用するのであれば、顧客関連のデータや売上データが中心となるかもしれません。
具体的なユーザを想定することで、設計段階からパフォーマンスやセキュリティ、利便性といったことを検討することができ、後々の運用においてもスムーズな管理や拡張が可能となります。
データベース設計の際には、その背後にある目的や具体的なユーザニーズをしっかりと捉え、それを基に設計を進めることがファーストステップです。
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構築するシステムの要件・仕様を理解
データベースの設計を行うポイントの2つ目は、構築するシステムの要件・仕様を理解することです。
システムの要件を理解することで、そのデータベースが持つべきデータや機能、性能などの基本的な方向性が明確になります。例えば、大量のデータを高速に処理する必要があるのか、特定の業務をサポートするための細かいデータ構造が必要なのか、といったことが判断できます。
また、要件や仕様の文書、特に要件定義書や外部設計書は、設計の際の重要な資料となります。これらの文書を基に、システムが求められる機能を詳細に把握できます。さらに、これらの情報を整理・分析することで、適切なデータベースの構造やインデックス、テーブルの設定などが可能となります。
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正規化を行う
データベースの設計を行うポイントの3つ目は、正規化を行うことです。
正規化が必要な理由は、データの重複があると、更新の際に矛盾が生じる可能性があるからです。例えば、同じ情報が複数の場所に保存されている場合、一か所を変更したとき、ほかの場所の情報が更新されなければデータの整合性が失われてしまいます。
そのため、このような問題を避けるためにも正規化は必要です。正規化をすることで、関連するデータを最小単位のテーブルに分割することで、データの一貫性と効率性を保つことが可能になります。さらに、データベースの性能や拡張性も向上させることができます。
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要件にない仕様を想定する
データベースの設計を行うポイントの4つ目は、要件にない仕様を想定することです。
例えば、データの物理削除が適切でないテーブルには、論理削除を行うためのフラグを設けることで、データを失わずに非表示にする手法を採用できます。また、データの登録日や登録者といった情報を記録することで、後からデータの操作履歴を追跡可能にします。これにより、いつ、誰がどのような操作を行ったかを明確に知ることができるようになります。
仕様書に書かれていないような、細部や非常に特定のケースを想定した設計も行うことで、将来的な問題の予防や効率的な運用が期待できます。
将来性も検討する
データベースの設計を行うポイントの5つ目は、将来性も検討することです。
業界に精通していると、設計の段階でほかの方が気づいていない要件の抜けや潜在的な問題点が見えてくることがあります。その際に設計側からの提言やアドバイスを行うことで、後の再設計に伴う手間やコスト増を回避することが可能になります。
これにより、システム全体の運用がスムーズに進行し、長期的な視点での効率的なデータベース管理が実現されるでしょう。
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まとめ
本記事では、データベースの設計に関する概要・目的・設計の流れ・設計のポイントについて解説してきました。データベースの設計は、適切な設計が行われないと、システムはユーザからの要求に応じた正しい結果を返すことができず、遅延やデータの整合性の問題など、さまざまな問題が発生する可能性が高まります。
このような事態を防ぐために、データベース設計の基本的な手順や考え方を理解することは非常に重要です。しかし、理論だけでなく、実際の設計作業には高度なスキルと経験が求められます。そのため、特に大規模なシステムや複雑な業務を持つシステムの場合、専門家やシステム開発のプロフェッショナルに設計を依頼するのが賢明でしょう。
なお、インキュデータでは、顧客データの基盤構築支援や設計のためのコンサルティングも行っておりますので、データベースの設計で何かお困りごとがあれば、是非一度お問い合わせください。