データ分析の代表的な目的は?目的を明確化すべき理由も解説 -
ビジネスでデータを活用するには、収集・蓄積したデータを分析することが欠かせません。しかし、データは単に分析することには意味がなく、データ分析の前段で目的を明確にしておくことが必須です。ただ、データ分析を明確にしなければならない理由について、よく理解できていない方もいるかもしれません。また、データ分析の目的を明確にした後、具体的にどのような流れで分析していくか把握しておきたいところです。
そこでこの記事では、データ分析で目的を明確にしなければならない理由や、代表的な分析手法、目的を明確化した後の流れなどを解説します。
データ分析の代表的な目的を解説
ここでは、データ分析の代表的な目的として、以下の3つを解説します。
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- 事実に基づく意思決定
- PDCAの精度向上
- 素早い問題解決
それでは、1つずつ解説します。
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事実に基づく意思決定
事実に基づいたデータを分析することで、物事の問題点を把握し、その原因も推測して改善につなげられます。データから客観的な事実を明らかにできれば、より事実に基づいた根拠をもって、意思決定を行えるでしょう。
PDCAの精度向上
データ分析により、PDCAサイクルの精度向上が期待できます。PDCAサイクルでは、仮説を設定の上で施策を実行し、実行後に振り返って改善していきます。その仮説設定を正確に行うことに加え、実行後に結果を把握・分析するためにもデータ分析が欠かせません。このように、データ分析により、より精度よくPDCAサイクルを回せれば、施策の改善に役立てられます。また、成功要因や失敗要因も明確にできるので、施策の再現性を高めるためにも有効です。
素早い問題解決
データ分析結果を利用することで、素早く問題に対処できます。なぜなら、データによって具体的な課題を明らかにし、客観的な数値等を基にした仮説を策定できるからです。データにより事実を数値や言葉として表現できるため、データを土台に仮説を設定できます。その上でデータ分析することで、問題に対してより効果的にアプローチでき、迅速な問題解消が期待できるのです。
データ分析の目的を明確化すべき理由
ここでは、データ分析の目的を明確化すべき理由として、以下の2つを解説します。
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- 分析結果の活用を促進
- チームの強みを活かした分析
それでは、1つずつ解説します。
分析結果の活用を促進
データ分析においては、目的の明確化と結果の活用が欠かせません。。データ分析で得られた知見を効果的に活用することで、ビジネスでもよい結果を期待できるでしょう。ただし、データ分析自体はあくまでも手段であり目的ではありません。そのため、あらかじめデータ分析目的を明確にし、目的に応じた結果を得てそれを活用していきましょう。大切なことは、データ分析結果は、サービス改善や問題点の特定など、何らかのアクションを起こすために活用するものだという目的意識をもつことです。
チームの強みを活かした分析
データ分析の目的を明確にし、チームのメンバーに共有することで、各メンバーの専門知識を生かして取得データの絞り込みや分析手法、注目ポイントを決定できます。これにより、各メンバーが自らの得意分野や専門性を最大限に活かして、組織全体でデータ分析に取り組めるでしょう。情報システム部門とマーケティング部門など組織内の多様なスキルや知識を効果的に組み合わせられるので、より高品質な分析結果を得られるはずです。
データ分析の代表的な手法は?目的に応じ使い分け
ここでは、データ分析の代表的な手法として、以下の10種類について解説します。
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- バスケット分析
- アソシエーション分析
- クロス集計
- 因子分析
- クラスター分析
- 決定木分析
- ABC分析
- ロジスティック回帰分析
- 主成分分析
- グレイモデル
それでは、1つずつ解説します。
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バスケット分析
バスケット分析は、顧客がどの商品を同時に買う傾向にあるか調査する手法です。例えば、商品Aと商品Bが同時に購入されることが多ければ、A商品とB商品を店内で隣同士に陳列することで、消費者の購買意欲を刺激できるでしょう。また、ECサイトでは顧客が商品Aをカートに追加したユーザに、レコメンドとして商品Bを紹介することも考えられます。
アソシエーション分析
アソシエーション分析は、さまざまなデータから関係性を探し出す手法です。前述のバスケット分析もアソシエーション分析の1つといえ、マーケティング戦略にも応用が効きます。例えば、アソシエーション分析の結果から、アップセル(より良い商品の推薦)やクロスセル(関連商品の提案)の成功率が高まるでしょう。また、商品の陳列やECサイトのデザイン決定にも有効です。
クロス集計
クロス集計は、得られたデータを特定のカテゴリや質問項目で分類する方法です。例えば、縦軸に「男女」の区別、横軸に「満足度」を置き、それぞれの組み合わせでの回答数を数え上げます。クロス集計はシンプルで、Excelなどで簡単に取り組める上に、様々な属性や質問項目を組み合わせてデータのトレンドやパターンを可視化できます。
因子分析
因子分析は、多くの変数データから共通する要因や背景の原因を探求する手法です。さまざまな事象に共通の要因を明らかにし、消費者心理を深く知ることで、ターゲットに合ったアプローチを展開できます。
クラスター分析
クラスター分析は、データを「魚介類が好き」、「運動不足を感じている」などの特性に基づいてまとめ上げる方法です。クラスター分析により、市場のセグメンテーションや自社ブランドの市場における立ち位置を明らかにできます。また、消費者の好みや趣味に応じて、戦略を立案したい場合にも有効です。
決定木分析
決定木分析は、クロス集計結果を繰り返し、分析結果を木の形で視覚的に示す手法です。これにより分析結果を直感的に理解し、例えばマーケティングでは高い満足度を持つ顧客の特徴や、商品購入に繋がりやすいターゲット層を特定できます。また、多くの選択肢から最適な答えを導き出せることや、ほかの分析方法と組み合わせてより深い分析を行いやすいこともメリットです。
ABC分析
ABC分析は、商品や顧客、売り上げなどをA・B・Cの3つのカテゴリーに分類して分析する手法です。例えば、月間売り上げが100万円を超える顧客をA、100万円以下で50万円以上の顧客をB、さらに50万円を下回る顧客をCとして区分します。ABC分析により、重視すべき商品・サービスが明らかになる上に、商品・サービスごとの戦略立案にも有効です。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、ある質問への答えを二つの選択肢に分けて、事象の発生確率を予測する手法です。例えば、ロジスティック回帰分析による予測結果に基づきマーケティング戦略を見直し、プロモーション活動改善に役立てることが考えられます。
主成分分析
主成分分析は、多数存在するデータから、要点を絞っていくつかのデータ(主成分)にまとめる手法です。膨大なデータを簡潔にまとめることで、情報の理解や分析が容易になります。迅速な分析と意思決定に役立ちますが、分析結果の解釈は分析者の見解に大きく影響されることに留意しましょう。
グレイモデル
グレイモデルは、明確な情報(白)と、不足している情報(黒)の中間となる不完全なデータ(グレイ)を予測するための方法です。特にリスク管理の分野で、グレイモデルが採用されています。ただ、単独でグレイモデルを使用することは少なく、ほかの分析手法と組み合わせて活用されることが一般的です。
データ分析で目的を明確化した後どうすればよい?
ここでは、目的を明確化した後データ分析を進める流れとして、以下の4つを解説します。
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- 仮説の洗い出し
- 分析方法の決定
- データ収集
- 実際にデータ分析
それでは、1つずつ解説します。
仮説の洗い出し
データ分析を行う前に、検証を行う拠り所となる仮説を構築しましょう。ただ、仮説を一度に多数設定しても、全て検証することが困難なこともあるかもしれません。その場合は、仮説の中から特に重要なものをピックアップし、その仮説を優先的に検証することがおすすめです。過去のデータや直感から、仮説の優先順位を立てる自信がなければ、データ分析を進める過程で最も重要と思われる仮説を選びましょう。これにより、経験が不足している場合でも、的確に方向性を定めることが可能です。
分析方法の決定
検証したい仮説から、最適な分析方法を決定しましょう。分析方法が決定すれば、自ずと必要なデータが明らかになるため、データを収集するための情報源も決定できるはずです。
データ収集
採用した分析手法から、必要となるデータを収集しましょう。分析手法により、必要になるデータの種類もその収集方法もさまざまです。データの品質・正確性を確保して、確実にデータを蓄積していきましょう。
関連記事:データの代表的な収集方法を解説!どのようなデータを収集・管理してどう活用すればいい?
実際にデータ分析
収集してきたデータを基に、実際に分析を行います。重要なポイントを理解すれば、データ分析が初めてでも十分な成果を挙げられますが、経験を積むと一層分析効率や精度が向上します。
まとめ
本記事では、データ分析で目的を明確にしなければならない理由や、代表的な分析手法や目的を明確化した後の流れなどを解説しました。データ分析には、意思決定や問題解決などの目的があり、目的を事前に明確にしておくことで分析結果の活用促進やチームの強みを活かした分析が可能になります。分析手法は数多く存在しますが、それぞれ目的や必要なデータが異なるので、データ分析の目的を明確にした上で各データ分析手法の特性から最適なものを選びましょう。
データ分析の目的を明確にしたら、仮説の洗い出しから実際のデータ分析まで、一連の流れで分析を進めていきましょう。そして、その分析結果を解析し、実際のビジネスに役立てていきましょう。