ビッグデータを分析!代表的手法やツール・活用事例も解説 -
技術の進歩により、ビッグデータを取り扱う場面が増え、ビジネスにおいても使われる場面が多くなってきています。しかし、ビッグデータを活用するには、ただ収集・蓄積するだけではなく分析が欠かせません。また、ビッグデータの分析手法やツールには多様なものがあるので、分析を行う際にはそれぞれの内容や目的を把握すると便利でしょう。
そこでこの記事では、ビッグデータ分析の意味や代表的手法、活用事例などを解説します。
ビッグデータ分析とは?
ビッグデータとは、大規模かつ多様で更新頻度も高いデータを意味し、ビッグデータ分析は、ビッグデータを対象とした分析を意味します。また、IDC社の調査では、全世界でデータ量は年々増加傾向にあり、2025年には163ゼタバイトに達すると予想されています。そのため、ビッグデータ分析でビジネスに役立つ知見を得ることは、今後まずます重視されるでしょう。ここでは、ビッグデータ分析をより深く理解するための基礎知識として、以下の2つを解説します。
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- ビッグデータの構成要素
- 普通のデータとどこが違う?
それでは、1つずつ解説します。
- 出典:3 Key Differentiators to Seek in Hybrid Cloud Services|IDC社 https://blogs.idc.com/2018/05/14/3-differentiators-hybrid-cloud-services/
ビッグデータの構成要素
ビッグデータの構成要素は3Vと呼ばれ、大きく分けてVolume(膨大なデータ量)、Velocity(データの発生頻度)、Variety(データ多様性)の3種類にわけられます。最近では、Veracity(データ内容の正確性)とValue(データの有用性)を含めて、5Vと呼ばれることも増えてきました。
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普通のデータとどこが違う?
今までのコンピューターやシステム間で取り扱えるデータは、これらでやり取りしやすい、決まった形式と構造を有するデータ(構造化データ)だけでした。しかし、ビッグデータでは画像や動画などの非構造化データも多数含まれています。また、量や更新頻度の面でも、普通のデータとは異なります。
ビッグデータ分析の代表的手法
ここでは、ビッグデータ分析の代表的手法として、以下の6つを解説します。
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- クロス集計
- クラスター分析
- アソシエーション分析
- ロジスティック回帰分析
- 決定木分析
- 主成分分析
それでは、1つずつ解説します。
関連記事:データ分析の手順を5ステップで解説! - 主な手法や成功ポイントを理解してビジネスに活用
クロス集計
クロス集計は、データを年齢や住所などの属性ごとに分け、属性ごとの傾向を把握する手法です。複雑な計算は不要で、ビッグデータ分析では基本的な手法と言えます。また、直感的に内容を理解しやすいため、プレゼンにもよく使われます。
クラスター分析
クラスター分析(Cluster)は、類似性を基にデータを分類し、データ集団ごとに特徴を分析する手法です。属性ではなく類似性を用いることがポイントで、それによりクラスターの特性ごとにマーケティング・ブランディング施策を立案します。
アソシエーション分析
アソシエーション分析(またはマーケットバスケット分析)は、一見わかりづらい商品購入に関するデータ同士の関連性を見出すものです。これにより、例えば「オムツとビールを同時に買うケースが多い」などの関連性を見出し、商品陳列やECサイトのレコメンドなどに活用できます。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、1(必ず発生する)から0(全く発生しない)の間の数値で、事象の発生確率を予測する手法です。例えば、ある商品が売れる確率を予測する際に使われます。
決定木分析
決定木分析は、前述のクロス集計を繰り返し、複数の要因を踏まえてデータ分類を行なって関連性を見つけ出す手法です。マーケティング分野では、既存のターゲットをより細分化して、細かく特徴を分析してターゲットを絞り込むために用いられます。
主成分分析
主成分分析は、複数の要因を有するデータについて、一部の要因を排除して単純化する手法です。一般的に、要因が多い程正確な分析結果を得られるものの、分析が複雑化しやすいことに注意しなければなりません。そこで、主成分分析を用いて分析をより簡単にすることが有効な場面があります。
ビッグデータの分析に役立つツール
ここでは、ビッグデータの分析に役立つツールとして、以下の2つを解説します。
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- BIツール
- データマイニングツール
- BIツール
それでは、1つずつ解説します。
関連記事:データ活用をビジネスに取り入れよう!メリットや活用事例・ポイントなどを解説
BIツール
BI(Business Intelligence)ツールは、データ分析・可視化・共有化を支援するツールで、データの集約や意思決定に役立ちます。多種多様なデータソースに対応している上、分析モデルやグラフ作成機能も有しているため、データ集計・加工の手間を削減してくれるでしょう。このことは、迅速な意思決定にも役立ちます。
データマイニングツール
データマイニングツールは、大量のデータから有用なデータを採掘(マイニング)するツールです。収集しただけのローデータには、多くのノイズがあり、そのままでは分析できません。そのため、データマイニングツールを用いてローデータからノイズを除去し、分析しやすい状態に整えます(データクレンジング)。データクレンジング後のデータを分析することに加え、最近ではAI による機械学習で大量のデータから傾向を把握できるデータマイニングツールも増えてきました。
ビッグデータ分析をビジネスに活用する事例
ここでは、ビッグデータ分析をビジネスに活用する事例として、以下の3つを解説します。
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- 予測に基づくビジネスの最適化
- データをリアルタイムで見える化
- 顧客体験の向上
それでは、1つずつ解説します。
予測に基づくビジネスの最適化
勘や経験ではなく、ビッグデータに基づく正確な予測を用いることで、ビジネスの最適化を図ることが可能です。例えば、生産管理や価格管理をビッグデータ分析に基づき行うことで、属人化を防いでかつ過不足ない最適な生産管理や価格管理を実現しようとする取り組みがあります。また、過去の人気商品や失敗商品をビッグデータ分析を行なって共通する特徴を洗い出すことで、より高い確率で売り上げが見込める商品の開発に役立てる取り組みもあります。
データをリアルタイムで見える化
技術の進歩に伴い、ビッグデータのリアルタイム処理が可能になったため、データをリアルタイムで可視化できるようになりました。この技術を応用し、例えば自動車の自動運転や工場機械の故障検知などに役立てられます。また、スポーツの分野においては、プレーのリアルタイム分析結果を中継中に公開することで、スポーツ観戦を新たな切り口で楽しんでもらう取り組みが行われています。プロスポーツチームの立場でも、リアルタイムのデータを作戦立案の参考にする事例もあります。
顧客体験の向上
ビッグデータを多角的に分析することで、顧客理解を深め、ひいては顧客体験の向上を図るための活用が可能ですます。例えば、ECサイトにおいては顧客情報やサイト上の行動を総合的に分析し、レコメンドを最適化できます。これにより、顧客体験を向上させ、LTV向上が期待できます。
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ビッグデータ分析を行うポイント
ここでは、ビッグデータ分析を行うポイントとして、以下の3つを解説します。
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- ビッグデータの利用目的を明確化
- データ保管環境の整備
- 事前にデータ処理を実施
それでは、1つずつ解説します。
ビッグデータの利用目的を明確化
実際に分析を行う前段で、ビッグデータ分析の目的を明確にしましょう。これにより、ビッグデータの中でもどのデータを対象にすべきか明確になり、そこからどの分析手法を採用すべきか決定できます。
関連記事:データ分析の代表的な目的は?目的を明確化すべき理由も解説
データ保管環境の整備
膨大で多種多様なデータを取り扱うため、ビッグデータ分析ではデータ保管環境の整備が欠かせません。データを大量かつ安全に保存するため、最近ではDWH(データウェアハウス)が使われることが増えてきました。DWHを用いることで、ビッグデータ分析をしやすい形にデータを最適化できる上、暗号化などでセキュリティ機能も強化できます。
関連記事:データレイクとデータウェアハウスの違いを比較!使い分ける方法や導入のポイントも解説
事前にデータ処理を実施
ビッグデータ分析の対象となるデータには、欠損やノイズがある場合や、写真や動画などの非構造化データなど形式が不統一の場合があります。その場合、そのままでは正確な分析は不可能であるため、事前にデータ処理を実施して、分析に適した形に整えておきます(データクレンジング)。人力で作業する場合もありますが、データクレンジングを行うツールも提供されています。
関連記事:非構造化データとは? - 定義から構造化データとの違い・活用における課題などについて解説
まとめ
本記事では、ビッグデータ分析の意味や代表的手法、活用事例などを解説しました。ビッグデータは、大量かつ多種多様なデータでクロス集計や主成分分析などの手法で、BIツールやデータマイニングツールで分析できます。ビッグデータ分析には、ビジネス予測やデータの見える化、さらには顧客体験の向上などさまざまな用途があります。
また、ビッグデータ分析には、データ保管環境の整備やデータ処理もポイントですが、ビッグデータの利用目的を明確化することも欠かせません。ビッグデータの利用目的から、最適な分析手法・ツールや必要なデータを用意しましょう。