ビッグデータを自社サービスに活用!扱うデータの種類や分析ポイントなどとともに解説 -
近年、ビッグデータは多くの分野で活用されています。ビジネスシーンもその例外ではありません。ビッグデータを効果的に活用すれば、将来予測やデータドリブンな意思決定などで、ビジネスで大いに役立ちます。
ただ、具体的にどのようなデータを扱うのか、もしくは分析する際にどのようなポイントに気をつけなければならないか、よくわからない方もいらっしゃるかもしれません。また、ビッグデータを実際に活用した事例を学べば、自社サービスにビッグデータを活用する際に、参考になるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ビッグデータの分析を行うメリットやデータの種類、分析ポイントなどについて詳しく解説します。
ビッグデータを自社サービスに活用するメリット
ここでは、ビッグデータを活用するメリットについて、以下の3つを解説します。
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- 将来の状況を緻密に予測
- 今まで分析できていなかった事実が判明
- データドリブンな意思決定
それでは、1つずつ解説していきます。
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将来の状況を予測
ビッグデータは、来客予測や商品の需要予測に活用できます。例えば、Webサイトのアクセスログや過去の来客者数などから、各店舗の来客者数や性別や年齢など属性を予測する取り組みが行われています。また、過去の商品別売り上げデータや気象データなどから、商品の需要を予測するサービスも存在します。来客者数や商品の需要を予測して過不足なく商品を入荷することで、無駄を省き収益最大化が期待されます。
今まで分析できていなかった事実が判明
商品を購入するまでの顧客の行動、市場の動向、製造現場の状態など、今までは把握できていなかったことが、ビッグデータでの分析を通じて明らかになることがあります。例えば、とある飲料メーカは、自動販売機で飲料商品を買うユーザの購買行動をビッグデータを用いて分析しました。その結果、ユーザが自動販売機で飲料商品を買う際には下段に視線が集まりやすいことが分かりました。その知見を活かし、従来は上段から並べていた主力商品を下段に集中させることで売上アップに成功したのです。
このように、ビッグデータより現状把握を進め、具体的な改善策を立案することで、自社サービスやマーケティング活動の改善につなげられるはずです。
データドリブンな意思決定
ビッグデータを用いることで、データドリブンな意思決定が可能になります。これまでは、勘や経験に基づいて意思決定を行うことが少なくありませんでした。しかし、これでは客観性や正確性に欠けます。その点、ビッグデータを用いることで、データに基づいた客観的かつ正確な意思決定ができるようになるのです。
ビッグデータを分析するポイント
ここでは、ビッグデータを分析するポイントについて、以下の5つを解説します。
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- データ収集目的の明確化
- 3V(5V)を意識したデータ収集
- 長期的視点でデータ活用
- データ管理体制の整備
- 客観的にデータ分析
それでは、1つずつ解説していきます。
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データ収集目的の明確化
ビッグデータは、そのまま何も加工をしなければただのデータの集まりに過ぎません。そのため、最初にデータ活用目的を明確にしておく必要があるのです。その目的から、どのようなデータを収集し、どう分析すべきか決定します。
関連記事:データの代表的な収集方法を解説!どのようなデータを収集・管理してどう活用すればいい?
3V(5V)を意識したデータ収集
ビッグデータは、3Vとして以下の3つの性質があるとされています。
表1:3V
Volume | 膨大なデータ量 |
Velocity | データ発生頻度 |
Variety | データ多様性 |
また、最近では上記の3Vに加えて、以下のいずれかを加え、ビッグデータには5Vの性質があると定義される場面も出てきました。
表2:5Vの構成要素(3Vと重複しない要素のみ)
Veracity | データ内容の正確性 |
Value | データの有用性 |
ビッグデータを収集する際には、これらの3V(5V)という性質を意識することで正しい理解が進みます。
長期的視点でデータ活用
ビッグデータの活用は、すぐに効果を発揮するとは限りません。ビッグデータの活用は、一度だけで終了させず、PDCAサイクルを回しながらデータ収集や分析を繰り返して精度を上げていくことが大切です。何度もPDCAサイクルを回すうちに、より効果的なデータ活用方法もわかってくるでしょう。そして、それを実現するには、長期的視点でデータ活用する意識が必要なのです。
データ管理体制の整備
ビッグデータは一元管理してこそ、真価を発揮します。なぜなら、今までバラバラだったデータを整合性のとれた状態に整備することで、そこから新たな知見を得ることが可能になるからです。データ統合がなされていない場合、システム同士を連携させる必要がありますが、その際はセキュリティ体制にも十分注意しましょう。
客観的にデータ分析
勘や経験に頼らずあくまでも客観的にデータ分析を行いましょう。なぜなら、主観が入るとデータが正確ではなくなるからです。また、他社の事例をそのままあてはめてもうまくいくとは限らないため、他社の事例に囚われすぎずに客観的にデータを扱うことに注意しましょう。
ビッグデータで扱うデータの例
ここでは、ビッグデータの例について、以下の4つを解説します。
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- 位置情報
- 広告
- 購入履歴
- 気象データ
それでは、1つずつ解説していきます。
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位置情報
ユーザが利用しているデバイスの位置情報を収集することで、道路の交通状況や観光客の行動など、渋滞予測や人流の分析に活用できます。ただし、ユーザのプライバシーへの配慮には注意が必要です。
広告
広告の閲覧データは、人々が感じているニーズの分析に有効です。インターネット広告などに活用され、ターゲットの心を動かす広告の作成や、アクセス予測から有望なターゲットに絞り込むことによる広告作成コストの削減に役立てられます。
購入履歴
商品やサービスを利用する顧客の購入履歴も重要なデータで、購入に至った人の性別や年齢、価値観やライフスタイルなどの傾向を把握できます。ビッグデータを扱うデータ基盤サービスも近年充実し、購入履歴のみならず購入に至る顧客行動も含めて分析することも可能になってきました。また、これらのデータは、今後の商品開発などにも活用できます。
気象データ
気温や気圧、大気などの気象データも、特に小売業界などでは集客に影響を与える可能性があります。暖房器具など季節性の強い商品を中心に、気象データから得られるデータを活用して、販売予測をする取り組みも行われています。
ビッグデータを自社サービスに活用している事例
ここでは、ビッグデータを自社サービスに活用している事例について、以下の2つを解説します。
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- コンビニエンスストア
- オンライン学習サービス事業会社
それでは、1つずつ解説していきます。
関連記事:データベースマーケティングとは? - 定義からメリット・成功のポイント・実施手順・活用事例まで徹底解説
コンビニエンスストア
このコンビニエンスストアでは、商品選定にビッグデータを用いています。コンビニは商品の入れ替えが激しいことは一般的ですが、扱う商品数が増えれば増えるほど、仕入れの管理は困難になります。そのため、仕入れる商品数の最適化を的確に行うことが必要です。データに基づいて根拠のある判断を行うため、ビッグデータを活用して最適な種類と商品数の選定に必要な知見を得ることとしました。その結果、以下の興味深い結果が得られました。
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- 商品Aは売り上げが小さく、取り扱いが終了になってもおかしくなかった
- しかし、分析の結果商品Aは「1割のユーザが売り上げの6割を占める」ことが判明
- 安定して収益が見込めるため、継続販売することを決定した
オンライン学習サービス事業会社
この教育サービス事業会社では、小学生から大学受験生を対象にオンライン学習サービスを提供する中で、学習ビックデータをマーケティングに活用しています。ユーザ40万人以上・導入校1000校以上という規模で活用されており、膨大なデータ量が高頻度で発生するとともに、ユーザ・クライアント層の幅広さによって多様性のあるデータが収集されています。年齢や住所といった静的なデータだけではなく、訪問回数・前回訪問日、またサービス内での行動ログデータも含めて顧客データをまとめています。それらのビックデータを活かして、パーソナライズしたメールを送付・分析・改善し続けることで、ユーザごとに最適化された学習方法を伝える仕組みを提供しています。
まとめ
ビッグデータの活用には、今まで分析できていなかった事実が判明することや、データに基づいた客観的な意思決定が可能になることがメリットです。すぐに成果が出るとは限りませんが、目的を明確にし、長期的視点をもってビッグデータを収集・活用していけば、自社サービスに役立つ知見が得られるはずです。
本記事で紹介したビッグデータの種類や活用事例をもとにビッグデータの分析手順を理解して、あなたのビジネスにも活用を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、インキュデータはデータ活用コンサルティングを提供しています。顧客データを中心としたビッグデータの活用をご検討でしたらぜひ一度ご相談ください。