INCUDATA Magazine_000599_データドリブンマーケティングとは?注目される背景・メリット・進め方・成功させるためのポイントや活用例について詳しく解説!

データドリブンマーケティングとは?注目される背景・メリット・進め方・成功させるためのポイントや活用例について詳しく解説! -

目次

マーケティングを担当する方にとって、日々の業務で取り組む施策の成果は非常に重要です。その中でも「データドリブンマーケティング」は、今、注目されているアプローチの一つです。

この記事では、データドリブンマーケティングの背景、そのメリット、進め方、そして成功のための秘訣や実際の活用例を詳しく解説します。最新の情報を手に入れ、マーケティング活動をさらにブラッシュアップしていきましょう。

データドリブンマーケティングとは?

MZ_000599_01.jpeg

データドリブンマーケティングは、データに基づいてマーケティング活動を進めるアプローチです。従来は経験や勘が中心でしたが、この手法は客観的なデータを中心に置きます。

具体的には、消費者の行動や嗜好、市場のトレンドなどのデータを収集・分析し、その結果を元にマーケティングの戦略や施策を策定・実施します。

この方法により、ターゲットに合わせた効果的なマーケティング活動が可能となり、ROI(投資対効果)の向上が期待できます。データの正確な分析は、企業が市場での競争力を維持・強化するための鍵となります。

関連記事:データベースマーケティングとは? - 定義からメリット・成功のポイント・実施手順・活用事例まで徹底解説

データドリブンマーケティングが注目される背景

MZ_000599_02.jpeg

データドリブンマーケティングが注目される背景には、4つの主要な要因が存在します。

まず、現代の技術進展により、企業がアクセスできるデータの量が以前と比べて飛躍的に増加しています。これにより、より詳細な顧客分析や市場動向の把握が可能となりました。

次に、消費者の購買行動は以前よりも多様化し、複雑になってきています。これに対応するため、従来の手法だけではなく、データを活用したアプローチが不可欠となっています。

さらに、デジタルマーケティング技術の進化もこのトレンドの背景にあります。高度なデジタル技術を駆使することで、効率的で的確なマーケティング活動が展開できるようになりました。

最後に、企業は予算を最大限に活用するため、費用対効果の高いマーケティング施策の選択が求められています。データを中心としたマーケティング戦略は費用対効果を可視化することが比較的容易なため、その選択をサポートする鍵となっています。

関連記事:データドリブンの意味を注目される背景やメリット・デメリットともに解説

データドリブンマーケティングのメリット

MZ_000599_03.jpeg

ここでは、データドリブンマーケティングのメリットについて解説します。

    • 迅速な判断が可能
    • コスト効率の高い投資が可能
    • 顧客のニーズに応えることが可能

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:データドリブンの意味を徹底解説!目的・メリット・進め方も詳しく紹介

迅速な判断が可能

データドリブンマーケティングのメリットの1つ目は、迅速な判断が可能なことです。

多様なデータを活用することで、市場の微細な変動や顧客の動向をすぐに把握できます。その結果、予兆や変化をいち早く察知し、迅速に対応するアクションを取ることができるのです。このような迅速な対応力は、競合他社に先駆けて戦略を実行し、競争優位性を確立・維持するための重要な要素となります。

コスト効率の高い投資が可能

データドリブンマーケティングのメリットの2つ目は、コスト効率の高い投資が可能なことです。

データドリブンマーケティングにより、施策の成果をデータを通して正確に検証することが可能となります。これにより、投資対効果、すなわちROIの向上が期待できます。また、異なるマーケティング施策の効果をデータに基づき比較することで、最も効果的な方法を選択することが可能です。

顧客のニーズに応えることが可能

データドリブンマーケティングのメリットの3つ目は、顧客のニーズに応えることが可能なことです。

従来のマーケティング手法では、広範な市場リサーチや一般的な消費者の傾向に基づいた施策が多く実施されました。しかし、データドリブンマーケティングを採用することで、顧客一人一人の購買履歴、興味、行動などのデータを収集・分析することが可能となります。

この詳細なデータによって、顧客の真のニーズや課題を具体的に把握することができるのです。そして、その情報を基に、個別の顧客や顧客層に最も適したマーケティング施策を計画・実施することが可能となります。これにより、より高い効果を持つパーソナライズされたコミュニケーションやサービスの提供が実現されるのです。

関連記事:パーソナライズドマーケティングの意味から活用事例まで詳しく解説!顧客一人一人に最適な体験を提供

データドリブンマーケティングの進め方

INCUDATA Magazine_000599_データドリブンマーケティングとは?注目される背景・メリット・進め方・成功させるためのポイントや活用例について詳しく解説!_データドリブンマーケティングの進め方.png

ここでは、データドリブンマーケティングの進め方について解説します。

    • マーケティングのゴールの明確化とKPIを決める
    • データの収集を行う
    • データの可視化
    • データの分析
    • アクションプランの実行・振り返り

それでは、1つずつ解説します。

マーケティングのゴールの明確化とKPIを決める

データドリブンマーケティングの進め方の1つ目のステップは、マーケティングのゴールの明確化とKPIを決めることです。

まず、ゴールを明確にすることは、どのような結果を目指してマーケティング活動を進めるのかを決める基本的なステップです。例えば、新規顧客獲得の増加、既存顧客のリピート率の向上、サイトの訪問者数の増加など、何を最終的な目標とするのかを明確に定義することが求められます。

次に、このゴールを実現するためのKPIの設定が必要です。KPIとは、目標達成のための進捗や成果を測るための指標です。具体的な目標数や期限を設定することで、施策の効果を具体的・定量的に測定し、適切な方向性へと導くことが可能となります。このように、ゴールの明確化とKPIの設定は、データドリブンマーケティングを効果的に進めるための基盤となる要素です。

関連記事:データ分析の代表的な目的は?目的を明確化すべき理由も解説

データの収集を行う

データドリブンマーケティングの進め方の2つ目のステップは、データの収集を行うことです。

具体的には、目的に合わせて自社で蓄積されている様々なデータを取り纏め、それを精査してデータを収集します。しかし、近年のIT技術の進展に伴い、企業内で使用されているシステムは増加し、各システムにデータが散在していることがよくあります。このような状況下では、データの一元管理が難しくなります。

そのため、データを集中的に管理・分析できるツールやシステムの導入を検討することが、効果的なデータドリブンマーケティングを実現する上で欠かせないステップとなります。これにより、データ活用をスムーズに実施可能になります。

関連記事:データの代表的な収集方法を解説!どのようなデータを収集・管理してどう活用すればいい?

データの可視化

データドリブンマーケティングの進め方の3つ目のステップは、データの可視化です。

データを効果的に利用するためには、その内容を明確に理解し「見える化」することが鍵となります。しかし、大量のデータを手動で処理するのは非効率的であり、時間がかかりすぎるという問題があります。

そこで、BIツールやWeb解析ツールなど、データの集計や分析をサポートするツールの活用が推奨されます。これらのツールにより、データの管理や分析が効率的に行えます。

関連記事:BIツールにおけるダッシュボードとは?主要な機能・導入メリット・設計方法・活用事例について詳しく解説!

データの分析

データドリブンマーケティングの進め方の4つ目のステップは、データの分析です。

データの「見える化」だけでは十分ではなく、そのデータを適切に分析し、具体的なアクションプランへと繋げる必要があります。データドリブンは、蓄積されたデータを時間の経過やほかのデータとの関連で解析し、因果関係や予測を行います。

しかし、この分析やプランの策定には、データに関するエンジニアリングの知識とビジネス知識を併せ持つ人材が必要です。データドリブンマーケティングを成功させるためには、このような専門人材の採用や育成が鍵となります。専門人材が不足する場合、データ活用の専門家を持つコンサルティング会社の協力も考慮すると良いでしょう。

関連記事:データ分析の手順を5ステップで解説!主な手法や成功ポイントを理解してビジネスに活用

アクションプランの実行・振り返り

データドリブンマーケティングの進め方の5つ目のステップは、アクションプランの実行・振り返りです。
データドリブンマーケティングは、初回ですぐに目的を達成することができるというわけではなく、多くの試行錯誤を経る必要が出てくる場合があります。そのため、PDCAサイクルをまわし、施策を継続的に評価・改善することが重要です。

また、PDCAサイクルを効果的に進めるポイントは、サイクルを高速化することです。具体的には、データのレポートを自動化したり、承認プロセスを短くしたりすることが有効です。

しかし、多忙なマーケティング担当者がPDCAサイクルを回すのが困難になることもあります。この場合、業務の負荷を分散させるような体制作りが必要となりますので、評価担当者と実施担当者を分けるなどの工夫をするようにしましょう。

関連記事:データドリブン経営とは?進め方や事例も解説

データドリブンマーケティングを成功させるためのポイント

MZ_000599_04.jpeg

ここでは、データドリブンマーケティングを成功させるためのポイントについて解説します。

    • 全社的に取り組む
    • 経営層のコミット
    • 適切なKPIの設定
    • PDCAを実行する

それでは、1つずつ解説します。

全社的に取り組む

データドリブンマーケティングを成功させるためのポイントの1つ目は、全社的に取り組むことです。

なぜなら、使用するデータは多岐にわたるため、一部門だけの活動ではそのポテンシャルを十分に引き出すことができないからです。経営層がデータの価値を深く理解し、その重要性を全社に伝え、トップダウンで推進することが効果的な結果を生む鍵となります。

さらに、データの活用を円滑に進めるための組織的な体制づくりも必要です。具体的には、社長直下の全社横断的なプロジェクトチームを設立し、データ活用の取り組みを組織全体で進めることが、成功への道を開く一つの手法といえます。

経営層のコミット

データドリブンマーケティングを成功させるためのポイントの2つ目は、経営層のコミットです。

データドリブンマーケティングの成功の鍵は、経営層のデータへの理解にあります。データの価値やその活用の意義を経営層に伝え、理解してもらうことが重要です。実際のデータ分析結果やデータ活用の効果を具体的に示すことで、データの重要性を経営層に実感してもらうことができます。

経営層がデータ活用の価値を理解し、支持してくれることで、企業全体のデータ活用が加速し、成功へとつながるでしょう。一方、経営層がデータの価値を理解していないと、データ活用の推進が難しく、マーケティングの効果も半減してしまいます。従って、経営層への説明や理解を深め、コミットメントを引き出す努力は、データドリブンマーケティング成功のための不可欠なステップとなります。

関連記事:経営戦略フレームワークとは?基本的な概念・メリット・具体的なフレームワーク・導入時の留意点について詳しく解説!

適切なKPIの設定

データドリブンマーケティングを成功させるためのポイントの3つ目は、適切なKPIの設定です。

データドリブンマーケティングのゴールを決めたら、それを達成する適切なKPIを設ける必要があります。そのKPIを設定する上で、KPIツリーは非常に有用なツールとなります。KPIツリーは、最終的なゴール(KGI)とそれを達成するための中間目標(KPI)をツリー構造で可視化するものです。

このツリーを使用することで、ゴール達成までのステップを明確に理解できるようになります。実際の施策実施時には、ツリーの下位のKPIから順に目標をクリアし、最終的にKGIを目指します。このKPIツリーを組み立てて社内で共有することで、明確な道筋を持ってデータドリブンマーケティングを進めることができ、その効果を最大化することができます。

PDCAを実行する

データドリブンマーケティングを成功させるためのポイントの4つ目は、PDCAを実行することです。

まず「Plan(計画)」の段階で、収集したデータをもとに施策を立案します。次に「Do(実施)」でその施策を実行します。続く「Check(評価)」では、施策の効果をデータによって確認・評価し、最後の「Action(改善)」で次回の施策に生かすための改善点を特定します。

このサイクルを継続的に回すことで、施策の質を徐々に高め、より効果的なマーケティングを実現します。

データドリブンマーケティングの支援ツール

MZ_000599_05.jpeg

ここでは、データドリブンマーケティングの支援ツールについて解説します。

    • Webアクセス解析ツール
    • MA(マーケティングオートメーションツール)
    • SFA(営業支援ツール)
    • CRM(顧客関係管理ツール)
    • CDP(顧客データ基盤)
    • BI(ビジネスインテリジェンスツール)

それでは、1つずつ解説します。

Webアクセス解析ツール

Webアクセス解析ツールは、Webサイトの動向を分析するためのツールです。主なKPIとして流入数やCVR(コンバージョン率)、直帰率・離脱率などのデータを取得・分析できます。

さらに、検索順位やユーザがサイトへ訪れるきっかけとなるキーワード、使用デバイスなどの詳細情報も得られます。代表的なツールとして、 Google Search Console や Google Analytics が挙げられ、多くの企業で活用されています。

しかし、これら以外にも多数の解析ツールが存在し、それぞれの特徴やコストを比較しながら最適なものを選択することが推奨されます。

関連記事:データ解析の意味は?メリットや代表的手法も解説!

MA(マーケティングオートメーションツール)

MAツールはマーケティング業務を自動化・効率化するためのツールで、リード情報や施策データの分析が可能です。一部にはWebアクセス解析機能も搭載され、メルマガ配信、お問い合わせフォームやLPの作成などの機能を持つものもあります。

また、MAの中にはは「リードスコアリング」機能を有するものもあります。リードのアクションごとに点数をつけることができます。例えば、メルマガの開封で2点、ホワイトペーパーのダウンロードで5点といった具体的な評価が行えるので、購買意欲の高いリードを効率的に特定し、優先的なアプローチが可能となります。

関連記事:MA(マーケティング・オートメーション)の概要は? - メリットや注意ポイント、活用の仕方

SFA(営業支援ツール)

SFA(Sales Force Automation)は、営業プロセスの自動化・効率化を目的とするツールで、営業活動全体をデジタル上でサポートします。具体的には、電話やメールといったインサイドセールスの取り組みのデータを収集・管理するほか、商談の詳細や顧客の契約情報も記録・分析可能です。

これらのデータを活用することで、顧客の動向やニーズを深く理解することができ、よりターゲットに合わせた提案やフォローアップが行えるようになります。さらに、売上データを顧客や商材ごとに細かく分析することで、どの顧客や商材が収益を上げているのか、またどの部分で改善の余地があるのかを明確にすることができます。

関連記事:営業支援のためのデータ活用術-営業のデジタライゼーションを実現する方策

CRM(顧客関係管理ツール)

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客に関する情報、例えば購買履歴、お問い合わせの内容、通信履歴などを一元的に管理するツールです。また、サービスや商品の提供を最適化することを目的としてCRMは使用されています。

データドリブンマーケティングの観点から見ると、CRMは非常に重要です。なぜなら、実際の顧客データを基にしたアクションは、効果的なマーケティング戦略を実施する上での鍵となるからです。CRMを使用することで、各顧客の購買行動や嗜好を深く理解し、それに基づいた個別のアプローチや提案をすることが可能になります。

関連記事:CRM分析とは?目的や代表的手法も併せて解説

CDP(顧客データ基盤)

CDP(Customer Data Platform)は、日本語で「顧客データ基盤」と表現され、顧客データを活用するためのプラットフォームです。目的は、個人の顧客データを統一的に管理し、活用することに特化しており、匿名データの利用とは異なるアプローチを持っています。

CDPの主な機能は、データの「収集」「統合」「活用」の3つです。最大の特長は、様々な外部データをも含めて統合的に管理できる点です。また、MA、CRM、Web接客ツール、社内システム等、多岐にわたるシステムと接続し、データを集約することが可能です。これにより、一元的な顧客データベースを構築し、各システムからのアクセス・活用を効率化します。

関連記事:CDPとCRMの違いは?機能や使い分け方を詳しく解説

BI(ビジネスインテリジェンスツール)

BIツール(Business Intelligenceツール)は、企業が保有する複数のデータソースから情報を統合し、深い分析を可能にするためのツールです。MA(マーケティングオートメーション)、SFA(Sales Force Automation)、さらにはExcelなどのファイルに散らばるデータを一箇所でまとめ、効率的に分析するのに役立ちます。

特に、大量のデータを取り扱う現代のビジネスシーンにおいて、データを手動で集約・分析するのは時間がかかり、誤りの原因ともなります。BIツールの導入により、このようなデータ操作を自動化し、高速に情報を可視化・分析できるのです。

結果、企業は迅速かつ的確な意思決定を下すためのサポートを受けることができます。これにより、市場の変化や顧客のニーズに迅速に対応することが可能となり、競争力の強化に寄与するでしょう。

関連記事:BIツールの活用事例を部署別に紹介!主要な機能は?各部門の活用事例とともに詳しく解説!

データドリブンマーケティングの事例

MZ_000599_06.jpeg

ここでは、データドリブンマーケティングの事例について解説します。

    • 日本ケンタッキー・フライド・チキン
    • カシオ計算機

それでは、1つずつ解説します。

日本ケンタッキー・フライド・チキン

日本ケンタッキー・フライド・チキンは、デジタルマーケティングへの取り組みが活発でありながら、データの統合性に課題がありました。その解決策として顧客データ統合管理ツールである「Treasure Data CDP」を導入しました。

このツールを使用して、個々の顧客の購入データなどを収集し、セグメント別のマーケティング施策、例えばロイヤリティプログラムやクーポン・広告配信などを効果的に実施しました。

関連記事:日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 - CDPによる顧客理解の深化で KFCが目指すマーケティングの変革

カシオ計算機

カシオ計算機は、量販店などを介した従来の販売方法では消費者のニーズの把握に課題がありました。そこでデジタルマーケティングを活用し、顧客理解を深める取り組みを開始しました。

具体的には、インキュデータの支援のもと、Treasure Data CDPを使用して、ユーザを「嗜好性」「購買意欲」「ロイヤリティ」の3つの観点でセグメント化しました。これを基に、パーソナライズドマーケティングを展開し、各ユーザに合わせた商品やサービスを提案しました。

まとめ

MZ_000599_07.jpeg

本記事では、データドリブンマーケティングの概要・メリット・進め方・成功するためのポイント・支援ツール・事例について解説しました。

経験やセンスだけを頼りにマーケティングを進めるのではなく、データを活用することで、より客観的かつ効果的なマーケティング施策の実施が可能になります。

ビジネスの成果を向上させるため、インキュデータはマーケティング部門のデータ活用支援も行っております。データドリブンマーケティングを進めていこうと考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

CONTACT お問い合わせ

弊社のサービスに関するお問い合わせや、取材・メディア掲載についてはこちら。

弊社のプロダクト・サービスに関する資料、各種調査結果、ホワイトペーパーなどを無料公開。