データドリブンの意味を徹底解説!目的・メリット・進め方も詳しく紹介 -
マーケティング戦略の策定など、さまざまな分野でデータドリブンなアプローチが活用されています。データドリブンはデータから客観的な判断を導き出せるため、企業での重要性を増しています。
データドリブンの意味を正しく理解することで、何のために役立てるべきかの目的も明確になり、効率的な取り組みが可能でしょう。
そこでこの記事では、データドリブンの意味、目的、メリット、実行ステップについて詳しく解説します。
データドリブンの意味
ここでは、データドリブンの意味について、以下の2つを解説します。
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- データドリブンとは
- データ活用との違い
それでは、1つずつ解説します。
データドリブンとは
データドリブンとは、意思決定などや戦略立案などの重要なプロセスにおいて、データを根拠として活用するアプローチのことです。人の経験や勘でなく、データをもとに判断するという特徴があります。客観的なデータを基に、より正確で効果的な判断や予測を行うことが可能です。
たとえば、ビジネスや組織運営、科学研究などさまざまな分野で利用されています。売上データ・マーケティングデータ、Web解析データなどを分析し、販売戦略や製品開発に生かすことが可能です。
昨今大量のデータを活用し、かつリアルタイムにデータを収集・統合できることから、データドリブンなアプローチはますます身近なものになっています。経営層だけではなく一般社員でも取り組めることに意味があります。
データ活用との違い
データドリブンに似た言葉に、データ活用があります。
データドリブンなアプローチでは、データを元に客観的な判断や予測をし、意思決定や戦略立案などに役立てます。ビッグデータ、データサイエンス、機械学習などの技術を活用して、より高度な分析や予測を実現、KKD(勘・度胸・経験)の範疇では得られなかった結論や傾向を提示できる可能性があります。
データ活用は、データを使って価値を生み出す方法のことです。たとえば、データの収集、整理、分析、可視化、レポート作成など、さまざまな活動が含まれており、データドリブンもその一部です。
データ活用は、データドリブンよりも広い範囲をカバーしており、データを用いて業務を効率化したり、新たなビジネス機会を見つけたりすることを目的とします。
関連記事:小売業界でもデータ分析が役立つ!KPI・分析方法・流れ・課題をまとめて解説
データドリブンな取り組みを行う目的
データドリブンな取り組みを行う目的はさまざまなものがありますが、ここでは以下の3つを解説します。
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- データ活用による売上拡大
- 顧客行動の変化への対応
- 分析・施策の高度化
それでは、1つずつ解説します。
データ活用による売上拡大
データ活用で売上拡大を目指すために、データドリブンなアプローチが効果的です。
データドリブンによるアプローチでは、ビッグデータなどの多くのデータを分析・可視化し、マーケティング戦略などに活用することで、企業発展に貢献します。たとえば、顧客データを分析することで、顧客のニーズや嗜好、購買パターンなどの把握が必要です。その結果、より効果的なマーケティング戦略やターゲティングを行えます。顧客データをもとにセグメント化を行い、各セグメントに合ったマーケティング戦略を実施すれば、顧客エンゲージメントが向上し、売上増も期待できます。
また、市場データや競合他社の情報を分析すれば、市場のトレンドや競合企業の戦略を把握し、自社の強みや弱みを明らかにできるでしょう。その結果、打ち手の方向性を定めることが出来、データから得られる示唆を施策に活かすことができます。
データドリブンなアプローチによって企業はさまざまなデータを分析し、結果を活用して売上拡大や利益率の改善につなげていきます。
顧客行動の変化への対応
近年ではオンラインとオフラインを行き来してから購買するなど、顧客行動が複雑化しています。その行動の変化に対応するためには、経験や勘ではなく、データ計測を基とするデータドリブンな分析・施策が効果的です。
たとえば、顧客の購買履歴やWebサイト閲覧履歴、アプリ利用履歴などのデータを収集・分析することで、顧客行動の変化やトレンドを把握することが可能です。新たなニーズやライフスタイルの変化などに迅速に対応できるでしょう。
分析・施策の高度化
マーケティング分野においてはビッグデータ処理や機械学習によるスコアリング、BIによるデータの可視化など、さまざまな専門技術が発展しています。そのため、これらの技術によって導きだすデータからより高度な施策や分析を打ち出すことが可能になっています。
こうした高度なデータドリブンアプローチにより、従来では実施できなかった顧客のセグメント化や、購買意欲が高まった瞬間をとらえた上でのコミュニケーションなどが行われるようになっています。
データドリブンのメリット
ここでは、データドリブンのメリットについて、以下の3つを解説します。
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- データの裏付けが可能
- ボトルネックの早期発見
- ユーザの多様なニーズへの迅速な対応
それでは、1つずつ解説します。
データの裏付けが可能
データドリブンなアプローチでは、データの裏付けが可能というメリットがあります。
データドリブンな意思決定は、データに基づいて行われるため、個人の経験や勘による主観や偏見が排除され、客観性を高めることが可能です。従来よりも効率的かつ効果的な意思決定を可能とします。データに基づく根拠があることで、説得力のある意思決定や戦略提案ができるようになるでしょう。
また、データに基づいて意思決定を行うことで、不確実性やリスクも低減できます。リスク要因を分析して、対策を講じることも可能です。
企業がより効果的で効率的な意思決定や戦略策定を行うためにも、データドリブンなプロセスを確立させ、データの裏付けをとることは、有益といえます。
ボトルネックの早期発見
ビジネスを達成する上で、組織やプロセスに潜むボトルネック(業務やプロセスの遅延や障害の原因となる部分)を早期に発見し、対策を立てるためにデータ収集に基づく確認を行うことが有効です。
データドリブンなアプローチを活用すれば、ボトルネックが発生している原因や要因を把握でき、適切な対策を打つことが可能です。早期発見できれば、より効果的な意思決定が可能となるでしょう。また、データを定期的に分析し、ボトルネックを継続的に検出・改善することで、組織全体のパフォーマンスが向上します。
ボトルネックを早期発見すれば、ビジネスの無駄なコストやリソースの浪費を抑えることも可能です。効率的なプロセスを実現することで、コスト削減につながり、組織の競争力が向上するでしょう。
ユーザの多様なニーズへの対応
近年では、消費者のニーズが多様化しています。そのため、消費者のデータを多く収集して、一人一人に対して最適化された商品・サービス提供が求められているのです。
データドリブンマーケティングを用いることで、顧客データから顧客の特性やニーズを洗い出し、それに沿ったマーケティング戦略を展開できます。顧客層ごとのユーザの行動や嗜好を理解し、それぞれに合わせたパーソナライズされたサービスやプロダクト提供も可能です。
また、データドリブンなアプローチでは、多様な顧客の反応や行動データをもとに、必要なユーザに適切なタイミングや方法でアプローチできるなど、コミュニケーション精度も上がり、顧客満足度も向上します。
データドリブン活用により、ユーザの多様なニーズへ対応でき、顧客満足度やリピート率の向上にもつながるでしょう。
関連記事:ビッグデータを自社サービスに活用!扱うデータの種類や分析ポイントなどとともに解説
データドリブンの活用ステップ
ここでは、データドリブンの活用ステップについて、以下5つを解説します。
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- データを用いる目的の設定
- データ収集
- データ集計・可視化
- データ分析・対策検討
- 対策実施
それでは、1つずつ解説します。
データを用いる目的の設定
1つ目のステップは、データを用いる目的の設定です。
データ収集・分析する前に、まずは明確な目的を設定することが重要です。
どのようなデータを用いて、何の判断を行うのかを明確にすることでどのようなデータを取得すべきかを明らかにでき、目標達成に向けて効率的なデータ活用を可能とします。
データ活用の目的として、達成すべきKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設定が必要です。データ活用の成果を測定するための指標としてKPIを設定し、目標達成の進捗を把握する上で役立ちます。
また、取り組むべき課題や分析対象の範囲を明確に定めることも重要です。スコープを明確にすることで、適切なデータを把握でき、効果的に分析可能でしょう。
データを活用する目的の設定は、データ活用の方向性を決めて、いつ何をすべきか計画するためにも、重要なステップです。
データ収集
2つ目は、データ収集です。
まずは、どのようなデータを取得するかを明確にする必要があります。企業が保管しているデータとして、内部データ(顧客データベース、売上データ、アンケート結果など)や外部データ(市場調査、SNSデータ、競合情報など)などがあります。多くのデータが散在しており、蓄積されたデータの中から必要なデータを集めることが必要です。状況によっては、データ一元管理の仕組み、データを集めるための仕組みづくりも必要でしょう。
収集するデータの種類や形式を、あらかじめ明確にしておくことも大切です。データには、定量データ(数値データ)や定性データ(テキストデータや画像データなど)があります。また、構造化データ・非構造化データもあります。データの種類や形式に応じて、収集方法や分析手法が異なるため、目的に沿ってデータ形式を合わせておくことが重要です。
データドリブンなアプローチでは、分析や対策検討につなげられるデータを正確かつ確実に集めることが大切なため、目的に沿ったデータの内容・形式を決めてから取り組みましょう。
関連記事:非構造化データとは? - 定義から構造化データとの違い・活用における課題などについて解説
データ集計・可視化
3つ目のステップは、データ集計・可視化です。
データ集計・可視化は、データの傾向やパターンを明らかにし、より効果的な分析や意思決定をサポートするための重要なステップです。収集したデータを整理し、分析や意思決定に役立てるために集計し、視覚的に見やすくしていきます。
集計したデータを視覚的に表現することで、データの傾向やパターンを直感的に理解しやすくなり、データの解釈も容易になり、効果的な意思決定につながります。
データ集計・可視化を効率的に行うために、BIツールやWeb解析ツールなどを導入して効率よく進めることも可能です。
データ分析・対策検討
4つ目のステップは、データ分析・対策検討です。
BIツールなどでデータ集計・可視化した結果を元に、分析を行い・具体的な問題解決や意思決定につなげていきます。
このステップでは、データに基づいた洞察が重要なため、高いスキルを持ったデータサイエンティストなどの専任の担当者が、ビジネス上の課題に沿って効果的な分析手法を検討することが大切です。
担当者は、統計分析や予測データをもとにデータ分析を行い、データのパターンや相関関係を見ていきます。その上で、マーケティング戦略の改善や製品開発の方向性、営業戦略の最適化、オペレーション改善など、ビジネス対策・施策を検討していくのです。
対策実施
5つ目は対策実施です。
データ分析にとって導き出された課題に対して、対策を実施していきます。
課題には、簡単に着手できるものと、難易度が高いものもあります。
たとえば、分析して対策が必要だと判断しても、リソース不足などが原因で、対策に移せない企業も多いでしょう。
責任を持って対策実施まで進めるためには、ビジネスの知識とデータ領域の知識を併せ持つ人材が必要です。データサイエンティストに分析をお任せするのではなく、マーケター、営業、商品開発等の部門にいる人材がデータを使いこなせるようになることも大切です。
関連記事:DX人材とは?求められるスキルやマインドも併せて解説
まとめ
データドリブンなアプローチでは、組織の意思決定などや戦略立案などにおいて、データを中心とした客観的なデータを提示できます。
データドリブンな意思決定をするためには、分析担当者でなくても、データを扱える知識が大切です。分析した結果をビジネスに役立てるためには、ビジネス知識とデータ領域の知識を併せ持つ人材が必要であり、現場担当者や開発担当者がデータを扱えるように進化する必要があります。