ビッグデータの身近な例とは?理解するための前提知識・事例から分かるメリット・デメリット・具体的な事例を中心に詳しく解説! -
膨大なデータを収集し活用することは、昨今のビジネス環境において必要不可欠となっています。しかし、ビッグデータの活用方法については多くの企業がまだ模索しているのが現状でしょう。
この記事では、ビッグデータの基本的な概要と、実際にビジネスでどのようにデータ分析・活用が行われているかの具体的な事例を紹介します。これらの事例を通じて、ビッグデータの活用方法を具体的にイメージできるようになることを目的としています。
ぜひ、この記事を参考にして、貴社のビッグデータ活用の第一歩を踏み出してください。
ビッグデータの身近な例を理解するための前提知識
ここでは、ビッグデータの身近な例を理解するための前提知識について解説します。
-
- ビッグデータとは?
- ビッグデータを構成する5つの要素
- ビッグデータとは?
それでは、1つずつ解説します。
関連記事:ビッグデータをわかりやすく解説!注目される背景・メリット・課題・具体的な活用事例についても紹介
ビッグデータとは?
ビッグデータとは、事業の知見を得るためのデータを指し、総務省によれば、主にオープンデータ、産業データ、パーソナルデータの3種類があります。これらを順に見ていきましょう。
- 出典:情報通信白書平成29年版 | 総務省 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc121100.html
オープンデータ
オープンデータは、ビッグデータの一部です。国や地方公共団体が提供するデータの中で、誰でも無料でアクセスできるものです。これには、営利・非営利を問わず二次利用が可能なルールが適用され、機械判読に適し、無償で利用できるデータが含まれます。
ほとんどのオープンデータは加工、編集、再配布などの二次利用が許可されています。企業が自社でデータを持っていない場合、オープンデータを活用することで、有益な情報を得ることが可能です。
- 出典:オープンデータ|デジタル庁 https://www.digital.go.jp/resources/open_data/
産業データ
産業データはビッグデータの重要な要素で、主に「ノウハウをデジタル化したデータ」と「M2M(機械同士の通信)データ」の2つに分けられます。
前者は事業者が保有する知識や技術のデジタル化されたデータで、後者はIoT機器などを通じてインターネット上で機械間で交換されるデータです。例えば、ビルのエレベーターの稼働状況や昇降回数などのデータがこれに含まれ、これらの情報を活用することで、産業の競争力を高めることができます。
M2Mデータの活用は、特にIoT技術の発展に伴い、今後ますます重要になると予想されています。
パーソナルデータ
パーソナルデータは個人の属性情報、移動や購買履歴、ウェアラブル機器からのデータなど、個人情報を含むデータが含まれます。これらのデータは個人から企業へ提供され、企業はそれをもとに商品やサービスの開発・改良を行い、BtoCやBtoBtoCモデルを通じて個人に提供します。
パーソナルデータの活用はビッグデータの利活用において重要な役割を果たしています。各種データを組み合わせることで、新たな価値創造が可能になります。
関連記事:1stパーティデータとは? - 広告運用で重要な理由や収集・活用方法などとともに徹底解説
ビッグデータを構成する5つの要素
ビッグデータは膨大な量のデータ群を指し、その特徴は当初「3つのV」として知られていました。これにはVolume(量)、Variety(多様性)、Velocity(速度・頻度)が含まれます。Volumeはデータの量の多さを、Varietyは様々な種類のデータを、Velocityはデータが生成され収集されるスピードを意味します。
さらに、ビッグデータの概念は進化し、Veracity(正確性)とValue(価値)が加わり「5つのV」とも称されるようになりました。Veracityはデータの信頼性や精度に関するもので、Valueはデータから得られる価値や利益を指します。
これら5つの特徴を持つビッグデータは、現代ビジネスや研究において非常に重要な役割を担っており、その活用価値は非常に高いとされています。データの量の増加とともに、これらの特性を理解し活用することが、今後の技術進歩やイノベーションの鍵となるでしょう。
関連記事:ビッグデータをわかりやすく解説!注目される背景・メリット・課題・具体的な活用事例についても紹介
ビッグデータを活用した身近な例から分かるメリット
ここでは、ビッグデータを活用した身近な例から分かるメリットについて解説します。
-
- リアルタイムで分析ができる
- サービスの質と顧客満足度の向上につながる
- 市場ニーズを把握し商品・サービスの開発・改良ができる
- リアルタイムで分析ができる
それでは、1つずつ解説します。
関連記事:ビッグデータを活用するメリット・デメリットは?企業の活用事例も解説
リアルタイムで分析ができる
ビッグデータを活用した身近な例から分かるメリットの1つ目は、リアルタイムで分析ができることです。
例えば、IoTデバイスやソーシャルメディアからのデータをリアルタイムで分析することにより、企業は顧客のニーズや最新のトレンドを即座に把握することができます。この迅速なデータ分析は、より速い対応やサービスの改善を実現し、結果として企業の競争力を高めることに寄与します。
現代のビジネス環境では、情報の速さが重要となるため、ビッグデータのリアルタイム分析は非常に有効な手段です。このように、ビッグデータは企業が市場の動向を敏感に察知し、それに応じた戦略を立てるのに役立ちます。
サービスの質と顧客満足度の向上につながる
ビッグデータを活用した身近な例から分かるメリットの2つ目は、サービスの質と顧客満足度の向上につながることです。
ビッグデータの分析により、顧客の行動履歴、購買履歴、嗜好などを詳細に理解できるようになります。これにより、顧客に最適なサービスを提供しやすくなり、顧客の不満や要望を製品開発に反映させ、より満足度の高いサービスへと進化させることが可能です。
例えば、音声認識技術を利用して顧客の会話内容や声のトーン、話す長さなどを分析し、アポイント取得率の向上に役立てることができます。これにより契約率のアップや解約の抑制など、具体的なビジネス効果が期待できます。
サービスの質が向上すると、競合他社との差別化が進み、顧客に選ばれる可能性が高まります。ビッグデータは、顧客満足度を高め、結果的にビジネス成功に貢献する重要な要素となっています。
市場ニーズを把握し商品・サービスの開発・改良できる
ビッグデータを活用した身近な例から分かるメリットの3つ目は、市場ニーズを把握し商品・サービスの開発・改良ができることです。
ビッグデータを分析することで、市場の動向やトレンドを迅速にキャッチアップできます。例えば、SNSやWebサイトのアクセスログデータを利用して新しい商品のアイデアを生み出したり、商品の使用状況を分析して改良を加えることができます。
これにより、企業は消費者の求めるものをより正確に理解し、それに応じた製品やサービスを市場に提供することが可能になります。
結果として、企業は市場の変化に柔軟に対応し、競争力を保つことができるのです。ビッグデータは、顧客の要望に応えるための重要な情報源となっています。
ビッグデータを活用した身近な例から分かるデメリット
ここでは、ビッグデータを活用した身近な例から分かるデメリットについて解説します。
-
- コストがかかる
- データ収集・分析に手間がかかる
- 個人情報の管理に注意する必要がある
- コストがかかる
それでは、1つずつ解説します。
関連記事:ビッグデータの問題点とは?解決するメリット・具体的な方法・技術について詳しく解説!
コストが発生する
ビッグデータを活用した身近な例から分かるデメリットの1つ目は、コストがかかることです。
大量のデータを保管するためには、大容量のストレージが必要であり、データの種類や連携するシステムの変更が生じた場合、システムの再構築や機能の追加にも費用がかかります。これは外部のクラウドサービスを利用する場合だけでなく、社内でのサービス運用においても同様です。
データの収集、保存、分析には専門的な技術やインフラが必要であり、これらを維持・管理するためには継続的な投資が求められます。したがって、ビッグデータを効果的に活用するためには、これらのコスト面を考慮に入れた計画的なアプローチが必要となるのです。
このように、ビッグデータの利点を享受するためには、それに伴うコストも重要な検討事項となります。
データ収集・分析に手間がかかる
ビッグデータを活用した身近な例から分かるデメリットの2つ目は、データ収集・分析に手間がかかることです。
質や信用性が低い情報源から得られるデータは、不完全であったり、重複や無価値なデータを含んでいることがあります。大量のデータを収集しても、その中から有用なデータを選別することは困難であり、かえってデータの取捨選択に悩むことがあります。質の高い、使いやすいデータを集めるためには、相応の労力と時間が必要です。
このように、ビッグデータの活用は、データの質と収集・分析の手間を考慮する必要があり、効果的な活用のためにはこれらの課題に適切に対処する必要があります。ビッグデータの持つ潜在的な価値を最大限に引き出すためには、これらのデメリットに対する対策が不可欠となります。
個人情報の管理に注意する必要がある
ビッグデータを活用した身近な例から分かるデメリットの3つ目は、個人情報の管理に注意する必要があることです。
例えば、顧客データを使用する際には、プライバシーを侵害しないよう適切にデータを加工し、利用する必要があります。また、データの流出を防ぐためにセキュリティ面の強化も欠かせません。これらの対策を怠ると、個人情報の漏洩などの大きな問題に発展するリスクがあり、企業の信用失墜につながる可能性もあります。
個人情報の適切な取り扱いと保護は、ビッグデータの活用において最も重要な課題の1つであり、これらを確実に実施することで、データを安全に活用するための基盤を築くことができます。
このように、ビッグデータの活用は高いセキュリティと倫理観を要求されるため、慎重な取り扱いが求められます。
関連記事:【2023年度版】データプライバシーの意味や関連する法律・トレンドについて解説
ビッグデータを活用した身近な例
ここでは、ビッグデータを活用した身近な例について解説します。
-
- SNSの広告
- ECサイトのレコメンド
- リアルタイム性を活用した交通情報の提供
- 気象データの活用による天気予報精度の向上と販売予測
- ウェアラブル端末による人体の健康管理
- SNSの広告
それでは、1つずつ解説します。
SNSの広告
ビッグデータを活用した身近な例の1つ目は、SNSの広告です。
SNSでは、利用者が登録時に年齢、性別、学歴、趣味などの個人情報を提供します。この情報に加えて、SNS上での行動データ(「いいね」の数、シェア、動画の再生回数など)を分析することで、ターゲットを絞り込んだ広告の表示が可能になります。
例えば、30代の女性でダイエットに興味があるユーザに対し、彼女たちが購入する可能性の高いダイエット食品の広告を表示できます。このようにターゲットに合わせた適切な広告を表示することが可能となり、結果として商品の認知度向上につながります。
この戦略は、マーケティングにおいて非常に効果的であり、ビッグデータの有効な活用事例の1つと言えます。
ECサイトのレコメンド
ビッグデータを活用した身近な例の2つ目は、ECサイトのレコメンドです。
この機能では、利用者の過去の購入履歴や閲覧履歴、クリック履歴などのデータをもとに、それぞれの顧客の好みに合った商品を提案します。
また、某ECサイトでは、会員の属性や利用履歴、ポイントの使用状況などのデータを蓄積し、これらのデータを分析してターゲットに合った広告を配信しています。この方法により、某ECサイトはクリック率や購入率を大幅に向上させています。
このように、ビッグデータを活用することで、ECサイトは顧客一人一人に合わせたショッピング体験を提供することが可能になり、売上増加に貢献します。
リアルタイム性を活用した交通情報の提供
ビッグデータを活用した身近な例の3つ目は、リアルタイム性を活用した交通情報の提供です。
GPSデータや交通情報データを収集することで、公共交通機関や人々の動きをリアルタイムで把握することが可能になります。この情報を活用することで、渋滞情報や最適なルート案内が可能となり、交通の混雑緩和に寄与しています。
例えば、高速道路に設置された電波ビーコンが、自動車のカーナビに渋滞、事故、所要時間などの情報を24時間365日提供します。これにより、利用者の安全性の向上のほか、二酸化炭素の排出量や大気汚染の軽減が期待されます。
ビッグデータによるリアルタイムの交通情報提供は、私たちの日常生活において大きな役割を果たしており、より快適で安全な移動をサポートしています。このように、ビッグデータは交通情報管理においても重要な技術として活用されています。
気象データの活用による天気予報精度の向上と販売予測
ビッグデータを活用した身近な例の3つ目は、気象データの活用による天気予報精度の向上と販売予測です。
某天気予報サービスでは、全国に広がる1.3万箇所もの観測網と、日々約18万通にも上るユーザからのリポートにより、リアルタイムで正確な気象データを収集し、それを分析・加工して、必要な情報を各所に提供しています。
ユーザからのリポートは、気象観測だけでは得られない貴重なデータを含んでおり、それが情報の精度と信頼性を高める大きな要因となっています。
また、この気象データは販売予測にも利用されています。例えば、お弁当屋さんが天気予報に基づいて必要な数を調整し、廃棄を減らすことができます。コンビニでは、気象データを活用して各店舗の商品展開を最適化し、肉まんのような廃棄リスクの高い商品のロスを減らすことができます。
某飲料メーカでは、熱中症情報と連動したクーポン配布によって、売り上げを20%向上させた事例もあります。このように、気象データはビジネスにおいて多様な形で活用されており、企業活動や防災、生活の質の向上に寄与しています。この分野は「ウェザーテック」と呼ばれ、さまざまな企業が気象データを利用する時代になっています。
ウェアラブル端末による人体の健康管理
ビッグデータを活用した身近な例の4つ目は、ウェアラブル端末による人体の健康管理です。
腕や頭などに装着するウェアラブル端末を通じて、運動履歴や睡眠データなどを取得し、個人の健康状態を管理できます。また、医療現場ではこれらの端末から収集したデータを診察や治療に活用するケースも増えています。
まとめ
本記事では、ビッグデータを活用した身近な例に関して、ビッグデータに関する前提知識を振り返りながらビッグデータを活用するメリット・デメリット・具体的な事例について解説してきました。
ビッグデータは、その種類も豊富で、それぞれのデータが持つ特性を理解し、目的に応じて的確に活用することで、業務の効率化や生産性の向上、新たなビジネスチャンスの創出など、さまざまなメリットを享受できます。しかし、データ活用には適切な管理やプライバシー保護の観点も重要です。
なお、インキュデータは企業のビッグデータの活用のサポートも行っております。ビッグデータを活用したマーケティング施策を進める上で疑問や相談があれば、ぜひお気軽にご相談ください。