INCUDATA Magazine_000625_顧客インサイトとは?注目される理由・把握するための具体的な方法・成功事例・活用の注意点についてわかりやすく解説!

顧客インサイトとは?注目される理由・把握するための具体的な方法・成功事例・活用の注意点についてわかりやすく解説! -

目次

マーケティングの世界では、ターゲットとなる顧客の本当のニーズを理解することが、常に大きな課題となっています。今は、多種多様な情報源によって顧客が様々な情報を手に入れやすくなり、価値観も多様化しています。

そのため、やみくもに新しい商品を作ったり、広告を打ったりしても顧客に響く可能性が低くなってしまいます。

そこで今回は、真のニーズを把握するための「顧客インサイト」に焦点を当て、その重要性と具体的な把握方法を詳しく紹介します。顧客インサイトの活用における注意点も解説し、効果的なマーケティング戦略を立てられるようにまとめています。ぜひ、ご覧いただき顧客インサイトを使いこなしていきましょう。

顧客インサイトとは?

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ここでは、顧客インサイトについて解説します。

    • 顧客インサイトの意味
    • 顧客インサイトとニーズの違い

それでは、1つずつ解説します。

顧客インサイトの意味

顧客インサイトとは、消費者が自分でも気づいていない隠れたニーズや欲求を理解することです。これは、顧客の行動、習慣、生活様式を深く観察し、その背後にある本質を見つけ出すプロセスを指します。

市場調査やデータ分析を通じて、顧客が表面上は認識していないが、実際には影響を受けているさまざまな要因を発見します。このような深い理解をもとに、企業はより効果的な製品開発やマーケティング戦略を立てることができるのです。

顧客インサイトは、顧客の真のニーズを満たすことで、長期的な顧客関係を築く上で重要な役割を果たします。

顧客インサイトとニーズの違い

顧客インサイトとニーズは似ていますが異なる概念です。ニーズは顧客が意識している要望や要求で、直接的な製品やサービスへの要求を指します。これに対し、顧客インサイトは顧客の行動や態度から洞察を得て、彼ら・彼女らが自覚していない深層の動機や欲求を探ることです。

ニーズは顕在的で明確なのに対して、顧客インサイトは隠れた傾向や心理を解明するものであり、より深いレベルの顧客理解を目指します。企業はニーズを満たすために直接的な解決策を提供しますが、顧客インサイトを活用することで、より革新的かつ個別化されたアプローチを開発することができます。ニーズは「何を」求めているかを示し、インサイトは「なぜ」そのニーズが生じるかを探ります。

顧客インサイトの分析が注目される理由

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ここでは、顧客インサイトの分析が注目される理由について解説します。

    • 新たな需要を発見できるため
    • 競合との差別化を図ることができるため
    • 市場での認知度向上につながるため

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:CX向上が企業にもたらすメリットとは?アプローチの仕方も解説

新たな需要を発見できるため

顧客インサイトの分析が注目される理由の1つ目は、新たな需要を発見できるためです。

企業は市場の変化や競争激化に対応し、新しい市場機会を見つける必要があります。顧客インサイトは、顧客の行動、習慣、まだ満たされていないニーズなどから深い理解を得ることで、これまで見過ごされていた市場の潜在的な機会を発掘します。

顧客が直接的には表現していない、あるいは彼ら・彼女ら自身も気づいていない深層の欲求や問題点を見つけ出すことにより、革新的な製品やサービスを創出し、新しい需要を生み出すことが可能になります。

競合との差別化を図ることができるため

顧客インサイトの分析が注目される理由の2つ目は、競合との差別化を図ることができるためです。

市場は常に変化しており、企業は競合他社との顕著な違いを打ち出す必要があります。顧客インサイトを深く掘り下げることで、企業は顧客の隠れたニーズや行動パターンを理解し、それに基づいたユニークな価値提案を作り出すことができます。これは、単に製品やサービスを提供するだけではなく、顧客にとって意味のある体験を創造することにつながります。

また、競合他社が見落としている市場機会を発見し、それを活用することで、独自の市場ポジショニングを築くことが可能になります。顧客インサイトを基にした戦略は、競合との差別化を実現し、持続的なビジネス成長へと導く鍵となるのです。

市場での認知度向上につながるため

顧客インサイトの分析が注目される理由の3つ目は、市場での認知度向上につながるためです。

企業は自社製品やサービスの認知度を高めるために、ターゲット顧客の深層にあるニーズや欲求を理解することが不可欠です。顧客インサイトの分析により、顧客が本当に価値を見出す点を特定し、その情報をマーケティングや広告戦略に活用することができます。

これは、製品やブランドメッセージが顧客に共感や興味を引き起こすように作り上げることにつながり、結果として市場での認知度の向上に寄与します。

また、顧客の心に響く内容を提供することで、口コミやソーシャルメディアでの共有が促進され、ブランドの露出と認知度が自然と増加します。つまり、顧客インサイトの分析は市場での存在感を高め、ブランド価値を向上させる重要な手段となるのです。

顧客インサイトを把握するための3つのステップ

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ここでは、顧客インサイトを把握するための3つのステップについて解説します。

    • ステップ1:インタビューやアンケート調査を行う
    • ステップ2:収集したデータの分析を行う
    • ステップ3:分析したデータから顧客インサイトを把握する

それでは、1つずつ解説します。

ステップ1:インタビューやアンケート調査を行う

顧客インサイトを把握するための1つ目のステップは、インタビューやアンケート調査を行うことです。具体的には下記を実施します。

    • インタビュー調査
    • ソーシャルリスニング

インタビュー調査

インタビュー調査は、顧客が普段意識していない、または容易に表現できない深層の感情や動機を理解するための方法です。顧客インサイトは表面的な質問では明らかにならず、顧客の深層にある価値観や購買行動の背景に焦点を当てる必要があります。

インタビューやその他の定性調査は、数値化しにくいこれらの要素を掘り下げるのに特に効果的です。インタビューでは、Yes/Noだけで終わらないオープン型の質問を用いて、顧客の本質的なニーズや欲求、感情、経験を詳細に探ります。

これにより、企業は顧客の真のニーズを深く理解し、よりパーソナライズされた製品やサービスを開発することが可能になります。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングは、特定の商品やブランドに関する生の消費者の声や実態の情報を収集することを目的としています。

ソーシャルメディア上でのユーザの投稿やコメントを分析することで、その商品がどのような状況で使用されているか、具体的な購入層の属性は何か、どのような文脈で話題にされているかなどの洞察を得ることができます。

これにより、実際の顧客の意見や感情、動向をリアルタイムで捉え、市場の傾向や消費者のニーズをより正確に理解することが可能になります。

ソーシャルリスニングは、直接的なフィードバックやトレンドの把握に役立ち、企業がより効果的な製品開発やマーケティング戦略を策定するのに重要な情報源となるのです。

ステップ2:収集したデータの分析を行う

顧客インサイトを把握するための2つ目のステップは、収集したデータの分析を行います。

分析フェーズでは、定量データ(数値で表される客観的な情報)と定性データ(テキストや言葉による主観的な情報)を組み合わせた相互分析が不可欠になります。

定量データは数値を用いて顧客の行動や傾向を明確に示し、一方で定性データは顧客の感情や意見、理由を深く探るのに役立ちます。これら両方のデータを統合し分析することで、より包括的で深い顧客理解が得られます。

この相互分析により、顧客の真のニーズや欲求、行動の背後にある動機を明らかにし、それに基づいた効果的な戦略を立案することが可能となります。

ステップ3:分析したデータから顧客インサイトを把握する

顧客インサイトを把握するための3つ目のステップは、分析したデータから顧客インサイトを把握することです。

このステップは、顧客がどのような理由で特定の行動を取るのか、また、その感情がどのような要素によって生じるのかを深く理解することを目的としています。多くの場合、消費者自身も完全には認識していない潜在的な本音や動機が存在し、これらはその人の購買行動やブランドに対する態度に大きな影響を与えます。

企業は消費者の深層理解を通じて、より効果的な製品開発やマーケティング戦略を策定することができ、顧客の真のニーズに応えることが可能になります。したがって、データの背後にある深い動機や原因を探ることは、顧客インサイトを把握する上で重要なステップとなるのです。

顧客インサイトを活用した成功事例

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ここでは、顧客インサイトを活用した成功事例について解説します。

    • 某食品メーカ
    • 某飲料メーカ
    • 某飲食チェーン店

それでは、1つずつ解説します。

某食品メーカ

成功事例の1つ目は。某食品メーカの事例です。

某飲食メーカは、60歳以上の購入層が低迷しているという課題に直面し、新しいことに敏感な「アクティブシニア」層の顧客インサイトを調査しました。調査の結果、この層が健康志向でありながら、豪華な食事にも価値を置いていることが判明しました。

彼らは「健康のために美味しさを諦めたくない」という考えを持っていることが明らかになりました。この洞察を基に、某食品メーカは健康に配慮しつつもプレミアム感を持つ商品の開発に着手します。これにより、60歳以上の購入層を取り込むことに成功し、対象年齢層の購入率の向上に繋げています。この事例は、顧客インサイトを活用して製品戦略を策定することの重要性を示しています。

某飲料メーカ

成功事例の2つ目は、某飲料メーカです。

某飲料メーカは、従来の「牛乳は健康に良い」というメッセージが顧客に響かないという課題に直面し、「牛乳を買いたくなる瞬間」に焦点を当てて顧客インサイトの調査を行いました。

その結果、「飲みたいと思ったときに牛乳がないとイライラしてしまう」という興味深いインサイトが見つかりました。これを受けて、某飲料メーカは「got milk?(ミルクある?)」という斬新な広告キャンペーンを展開します。

牛乳を一緒に楽しむパンやクッキーとともに、このキャッチフレーズだけのシンプルな広告を使用しました。このキャンペーンは、顧客の心理に訴え、牛乳の消費量回復に大きく寄与しました。この成功例は、顧客インサイトに基づいた効果的なマーケティング戦略の重要性を示しています。

某飲食チェーン店

成功事例の3つ目は、某飲食チェーン店です。

某飲食チェーン店は、定食屋が男性が多く食べる場所というイメージが強く、女性客の獲得が困難という課題に直面しました。そこで、彼らは「1人での外食が苦手」という女性の心情に着目し、その理由を探るための調査を行いました。

調査の結果、「1人で店に入って食べているところを歩行者から見られたくない」というインサイトが明らかになりました。これに基づき、某飲食チェーン店は店舗の立地戦略を見直し、2階以上や地下に店舗を構えるようにしました。

この変更により、1人で食事をする女性客が気軽に入店できる環境を提供し、結果的に女性客の集客に成功しました。この事例は、ターゲット顧客の深層の心理やニーズを理解し、それに基づいて店舗戦略を調整することの重要性を示しています。

顧客インサイトを活用するときの注意点

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ここでは、顧客インサイトを活用するときの注意点について解説します。

    • 顧客インサイトの可視化にフレームワークを活用する
    • 顧客インサイトを使用するときはエビデンスを提示
    • 企業イメージを毀損しない訴求手法を用いる

それでは、1つずつ解説します。

顧客インサイトの可視化にフレームワークを活用する

顧客インサイトを活用するときの注意点の1つ目は、顧客インサイトの可視化にフレームワークを活用することです。

顧客インサイトは数値やデータで簡単に可視化できない性質を持つため、分析する際には社内やチーム間で共通のフレームワークを用いることが推奨されます。顧客インサイトは、顧客の深層の感情や動機に基づくものであり、これを適切に捉え、理解し、活用するためには一貫した分析の枠組みが必要です。

共通のフレームワークを使用することで、チーム間の認識の齟齬を減らし、顧客インサイトの解釈を統一化できます。また、このようなアプローチは、顧客インサイトを具体的な戦略や施策に活用する際にも役立ちます。

関連記事:マーケティング活動で重要な顧客理解を深める方法やフレームワークを解説!

顧客インサイトを使用するときはエビデンスを提示

顧客インサイトを活用するときの注意点の2つ目は、顧客インサイトを使用するときはエビデンスを提示することです。

ただし、顧客インサイトは消費者自身も完全には認識していない本音であるため、エビデンスを提示することが難しいという実情があります。そのため、完全な立証は難しいものの、意思決定者が納得できるレベルまでロジックを積み上げることが重要です。

これには、定量的データ(数値化された客観的な情報)と定性的データ(主観的な感覚や意見に基づく情報)の両方を組み合わせるアプローチが有効です。このバランスの取れたデータの統合により、顧客インサイトの信頼性を高め、より効果的な戦略策定に繋げることが可能となります。顧客インサイトの活用には、慎重なデータの解釈と論理的な根拠の構築が求められます。

企業イメージを毀損しない訴求手法を用いる

顧客インサイトを活用するときの注意点の3つ目は、企業イメージを毀損しない訴求手法を用いることです。

具体的には、ストレート過ぎる訴求は企業の印象を悪化させるリスクがあります。特に薄毛や体臭などのコンプレックスに関連する商品を扱う場合、この点は特に注意が必要です。

消費者の不安を煽るような広告は一時的に効果があるように見えることもありますが、長期的には企業のブランドイメージを損ねるネガティブな影響を及ぼすことも考えられます。

そのため、訴求を行う際には、企業ブランディングにマイナスの影響が出ないかどうかも慎重に検討する必要があります。顧客インサイトを適切に活用しつつも、企業の長期的なブランド価値を保持するためのバランスを取ることが重要です。

まとめ

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本記事では、顧客インサイトについて概要・注目される理由・把握するためのステップ・成功事例・活用する際の注意点について解説しました。

顧客インサイトが重視される背景には、新たな市場ニーズの発掘や競合との差別化などがあります。把握方法としては、インタビューやアンケート、ソーシャルリスニングなどが挙げられ、データ分析の重要性が高まっています。

一方で、顧客インサイトの活用の際は、仮にネガティブな訴求をすることで商品が売れることがわかったとしても、そのまま実施をするのかについては注意深く検討すべきです。これらの注意点も踏まえて顧客インサイトを用いつつ、マーケティング戦略をさらに洗練させていくとよいでしょう。

なお、インキュデータは事業拡大に向けた顧客インサイトの把握・活用のサポートを行なっております。何か当該分野でお困りごとがあれば、是非一度お問い合わせください。

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