O2Oとは? - 基礎知識から関連するキーワード・利点・注意点まで徹底解説 -
昨今、あらゆるビジネスシーンでオンライン上のサービスが活用されるようになってきました。O2Oもその一つです。O2Oを効果的に活用することで、新規顧客獲得や顧客ニーズに合わせた施策立案などを期待できます。
ただ、O2Oの類語も複数存在し、それぞれの意味を理解していない方もいるかもしれません。また、O2Oの実施には注意点もあります。しかし、O2Oをしっかり理解すれば、店舗への集客を効果的に増やせるでしょう。
そこでこの記事では、O2Oの基礎知識や利点、注意点とその対策などについて詳しく解説します。
O2Oとは
ここでは、O2Oの基礎知識として、以下の3つを解説します。
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- O2Oの意味
- O2Oが重視される背景
- O2Oの代表的施策
それでは、一つずつ解説していきます。
O2Oの意味
基礎知識の1つ目は、O2Oの意味です。O2O(Online to Offline)とは、オンラインからオフラインへの購買を促す手法を意味します。SNS上において実店舗で使えるクーポンを発行して、顧客の来店を促進することが、O2Oの一例です。O2Oにより、店舗への集客効率化を期待できます。
関連記事:O2Oマーケティングとは?定義から普及の背景・施策令・活用事例まで徹底解説
O2Oが重視される背景
基礎知識の2つ目は、O2Oが重視される背景です。以下に 3つ、表にまとめます。
表1:O2Oが重視される背景
モバイルデバイスの普及 |
モバイルデバイスの普及が進み※1、日常生活でインターネットが活用されるシーンが増えている。オフラインでの購買シーンにおいても、オンラインの情報が影響を与えることが増えている |
SNSの普及 |
SNSの普及が進み※2、SNSによる情報拡散やクチコミの影響を無視できない場面が増えている。実店舗が、SNSアカウントを運用するケースも増えている |
店舗でしかできない顧客体験 |
服の試着など、オフラインならではの顧客体験も存在する。オフラインとオンライン両方の特性を生かすことで、マーケティングの効果がより高まる |
- ※1:令和3年度情報通信白書 第1部「図表1-1-1-1 情報通信機器の世帯保有率」によると、2020年にはモバイル端末全体の利用率は96.8%であった
- ※2:令和3年度情報通信白書 第2部「図表4-2-1-8 年齢階層別ソーシャルネットワーキングサービスの利用状況」によると、2020年には全体のSNS利用率は73.8%であった
- 出典:令和3年度情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 | 総務省 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111100.html
- 出典:令和3年度情報通信白書 第2部 基本データと政策動向 | 総務省 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242120.html
O2Oの代表的集客手段
基礎知識の3つ目は、O2Oの代表的集客手段です。以下に5つ、表にまとめます。
表2:O2Oの代表的集客手段
ECサイト |
ECサイトにて購入した商品を、送料無料で店舗で受け取る(BOPIS)。顧客は送料を負担せず好きなときに好きな場所で購入できる。店舗側は来店を促すことでついで買いが期待できる。また、商品や顧客のデータをECサイトと店舗で共有し、来店時の接客の質を高められる |
SNS |
SNSの拡散力を利用し、店舗でのイベントの様子や商品ディスプレイなどをを訴求することで、店舗への集客につなげる。また、顧客とのコミュニケーションの場としても活用し、店舗や店員のファンになってもらうことで、店舗へのリピータを増やすことも期待される |
アプリ |
アプリのプッシュ通知はメールよりも開封率が高い傾向にあるため、実店舗にて使えるクーポンの配布や新商品の紹介に使われる |
QRコード |
店内にQRコードを掲示し、来店時にチェックインすることで限定クーポンを発行するなどして来店を促す |
位置情報 |
スマートフォンなどの位置情報により、顧客が今いる位置に近い店舗を紹介して来店を促せる。また、位置情報により来店した顧客に対してもポイントを付与することで、集客を促進できる |
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O2Oに関連するキーワードとは
ここでは、O2Oに関連するキーワードとして、以下の4つを解説します。
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- マルチチャネル
- オムニチャネル
- OMO
- 逆O2O
それでは、一つずつ解説していきます。
マルチチャネル
キーワードの1つ目は、マルチチャネルです。マルチチャネルでは、SNSやECサイト、実店舗などあらゆるチャネルを活用し、チャネルごとに施策を最適化させていきます。マルチチャネルの場合は、各チャネルがオンラインかオフラインかは不問です。
そのため、例えばSNS経由でECサイトに誘導して、ECサイトでの購入を図る場合は、マルチチャネルには該当しますが、O2Oには該当しません。
オムニチャネル
キーワードの2つ目は、オムニチャネルです。オムニチャネルでは、SNSやECサイト、実店舗などあらゆるチャネルを連携させてワンストップサービスを展開します。チャネル間で顧客に関するデータを共有することで、一つのブランドを作ってスムーズで快適な顧客体験を提供することが、主な目的です。
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OMO
キーワードの3つ目は、OMOです。OMO(Online Merges with Offline)では、オンラインとオフラインを融合させて顧客体験向上を図ります。対してO2Oは、オンライン上の顧客をオフラインである店舗に誘導する施策である点が、OMOと異なる点です。
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逆O2O
キーワードの4つ目は、逆O2O(Offline to Online)です。逆O2Oは、オフラインからオンラインに誘導するものです。例えば、チラシにQRコードを掲載し、アプリに誘導することが、逆O2Oの一例としてあげられます。
O2Oの利点とは
ここでは、O2Oの利点として、以下の3つを解説します。
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- 新規顧客獲得を促進
- 顧客ニーズに合わせた施策が可能
- 効果測定が容易
それでは、一つずつ解説していきます。
オンライン上での広範囲の訴求で新規顧客獲得を促進
利点の1つ目は、新規顧客獲得を促進できることです。これまで多くの実店舗で行われてきた、チラシや紙のクーポンなどのオフライン施策は、配布範囲が限られていました。しかしオンラインであれば、より広範囲の顧客に訴求できるため、顧客の新規獲得機会が増えるでしょう。
また、オンライン上でより多くの人に販売促進をすることで、顧客獲得単価の向上が期待できます。
顧客ニーズに合わせた施策が可能
利点の2つ目は、顧客ニーズに合わせた施策ができることです。
O2Oでは、実物に触る、店員とのコミュニケーションなど、オフラインならではの接客を活用できます。また、オフラインでの購買行動を分析し、その分析結果を元にアプリやSNSなどの集客手段の運用に反映させることで、顧客ニーズに合わせた施策が可能になります。
その結果、効果的にオンラインからオフラインに誘導でき、店舗での売上増加が期待できるのです。
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効果測定が容易
利点の3つ目は、効果測定が容易であることです。アプリ利用時の位置情報を利用した来店計測や、来店クーポンの読み取り数など、O2Oの施策には効果測定が容易な部分が少なくありません。これにより、施策の効果や改善点を可視化できるため、PDCAサイクルを素早く回していくことで施策の効果を高められるでしょう。
関連記事:O2Oの効果を高めるサービスの種類は?自社サービスへのO2Oの適用効果や代表的な集客手段と併せて解説
O2Oの注意点とは
ここでは、O2Oの注意点として、以下の3つを解説します。
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- 客単価向上が難しい
- 競合店舗と比較されやすい
- 店舗に誘導した後の施策と併せて検討する必要がある
それでは、一つずつ解説していきます。
客単価向上が難しい
注意点の1つ目は、客単価向上が難しいことです。O2Oでよくある集客方法の一つは、来店クーポンの配布などを通じてお得感を得てもらうことです。しかし、この施策は客単価が下がりやすいことに注意しなければなりません。
この場合、以下のような施策で客単価の向上を図ることがおすすめです。
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- データを活用して、リピータになる確率が高い顧客のみクーポンを配布するなど、LTV向上を高める施策を講じる
- 類似の顧客データより、まとめ買いしてもらえる確率が高い商品をセットで紹介するなどしてクロスセルを狙う
関連記事:LTVを向上させる5つの施策 - LTV向上のメリットや有効なツールも紹介
競合店舗と比較されやすい
注意点の2つ目は、競合店舗と比較されやすいことです。O2Oでは、実店舗に集客するためにオンラインを活用します。ただ、クチコミサイトやSNSを用いると、オンライン上で競合店舗と比較されることも珍しくありません。
それでも最終的には自社が選ばれるための手段としては、競合店舗にないサービスを打ち出すことが有効です。最近では、DXを進め新たなサービスを展開する事例が増えています。例えば、顧客がモバイルアプリで事前に商品の注文・決済を済ませることで、店舗では全く待たずに商品をすぐ受け取れるサービスは、その好例でしょう。
関連記事:国内外のO2Oプロモーション事例から学ぶ成功のポイント
店舗に誘導した後の施策と併せて検討する必要がある
注意点の3つ目は、店舗に誘導した後の施策と併せて検討する必要があることです。O2Oで店舗に顧客を誘導できても、その顧客が最終的に商品を購入しなければ意味がありません。また、最近では実店舗で気になる商品を手に取って確かめたのちに、最終的に別の会社のECサイトでその商品を購入するケースも増えています。
そのため、来店時に店内で発行されるクーポンや再来店クーポンの配布など、店舗に誘導した後に購買意欲を高める施策も確実に行いましょう。
まとめ
O2Oが成功すれば、容易かつ定量的に活動の効果測定を実施できるため、PDCAサイクルを素早く回して顧客満足度を効率的に高められるでしょう。
ただ、客単価の向上が困難であるうえに、競合店舗との比較を受けることも珍しくありません。さらに、実店舗に誘導しても、そこで最終的に購入に至らないケースも考慮しなければなりません。そのため、O2Oでは最終的な購入やリピータ確保までを視野に入れて、施策を立案することが必要といえるでしょう。
なお、インキュデータはオンライン・オフラインのデータを統合し、新たな顧客体験の創出やマーケティング施策の支援を行っております。販売促進などにO2Oを有効に取り入れたい方は、ぜひ一度ご相談ください。