DX戦略に役立つフレームワーク5選!活用する際の注意点も解説 -
DXが広く認知され、DX戦略を進める企業が増えています。DX戦略を効率的に進めるためには、実践的なフレームワークの知識が欠かせません。しかし、DXを成功させるための具体的な方法が分からないということもあるでしょう。
そこで本記事では、DX戦略にフレームワークが必要な理由と、その基礎知識を解説し、DX戦略に役立つフレームワーク5選も紹介します。
DX戦略にフレームワークが必要な理由
DX戦略にフレームワークが必要な理由は、フレームワークを取り入れることで、経営層から従業員まで、組織全体でDXのビジョンを共有しやすくするためです。DXは、経営者1人の努力だけで達成できるものではありません。組織全体が明確なビジョンを共有し、一致団結して変革を進める必要があります。
DX戦略にフレームワークを取り入れることで、組織の変革を効果的に進めるための構造や手順を把握しやすくなります。また、組織全体で一貫したアプローチを実践できるため、目標に対して手段が明確になります。
さらに、フレームワークを使用することで、戦略の進捗状況を、俯瞰して分析・評価しやすくなります。現在の状況と、将来的な目標を示すためにも、フレームワークの活用は重要です。
DXフレームワークとは?
DXフレームワークとはそもそもどのようなものを指すのでしょうか。ここでは、DXフレームワークについて以下の2つの観点から詳しく解説していきます。
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- DXフレームワークとは
- DXレポート2とは
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
DXフレームワークとは
DXフレームワークとは、デジタル変革を実現するための具体的なステップ、デジタイゼーション・デジタライゼーション・デジタルトランスフォーメーションの3段階の目標を用いて、DXのアクションを、取り組み分野と進行段階に分類し、整理したものを指します。
DXフレームワークは、2022年12月に「DXレポート2」で経済産業省によって提案されました。DXに関して、まだ具体的な取り組みをしていない企業でも、より実践的なDXアクションが実現可能になることを目的としています。
DXフレームワークによって自社のDXの進捗度を確認するとともに、課題を洗い出し、具体的な行動改善へを進めることができます。
DXレポート2とは
「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」での議論をまとめた資料が、「DXレポート」です。そして、DXレポートは、2018年からDXレポート2、DXレポート2.1と順に公表されており、2022年にはDXレポート2.2が公表されました。この中でも特に、DXレポート2は、デジタル化を推進する上での新たな産業構造の必要性と、スピード感を持った情報発信の重要性が強調された特徴的な指針です。また。DXレポート2の内容から、さらに具体的なアクションやデジタル産業の姿が提示されているのが、レポート2.1および2.2です。
- 出典:DXレポート2|経済産業省 https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf
- 出典:DXレポート2.2|経済産業省 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/covid-19_dgc/pdf/002_05_00.pdf
DX戦略に役立つフレームワーク5選
DX戦略を推進する具体的な施策を打ち出すうえでは、フレームワークを活用することが重要です。ここでは、以下の5つを解説します。
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- 3C分析
- PEST分析
- MVV
- バリューチェーン分析
- ビジネスモデルキャンバス
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
3C分析
DX戦略に役立つフレームワークの1つ目は、3C分析です。3Cとは、Customer(顧客)・Company(企業)・Competitor(競合)のことを指し、3C分析は、この3つの要素に着目して分析する手法です。マーケティング戦略や事業計画を立案するときに用いられます。
3C分析を活用することで、市場の成長性・潜在顧客のニーズ・競合他社の市場シェア・自社製品の強み・弱みを包括的に理解することが可能です。そのため、全体的な視野から戦略的にDX戦略を策定・立案するのに役立ちます。
PEST分析
DX戦略に役立つフレームワークの2つ目は、PEST分析です。PEST分析は、外部環境を評価する戦略分析手法で、政治(Political)・経済(Economic)・社会文化(Sociocultural)・技術(Technological)の4つの要素を網羅的に分析していく手法です。
PEST分析を活用することで、デジタル技術やイノベーションを取り入れた戦略立案に必要な情報を得ることができます。特に技術分析では、技術革新やデジタル化の進展を把握し、企業が競争力を維持・向上させるためにどのようなデジタル技術を活用すべきかを検討できるでしょう。
また、技術以外の要素(政治・経済・社会文化)の分析をすることで、社会のニーズやトレンドを分析し、適切な戦略を策定することにもつながります。
MVV
DX戦略に役立つフレームワークの3つ目は、MVVです。MVVは、Mission(使命)・Vision(将来像)・Value(価値観)を明確にし、組織全体の基盤となる考え方のことを指します。DX戦略を策定する際にMVVを考慮することで、組織が目指すべき方向性や価値を明確にし、従業員の行動や意思決定の指針を示すことが可能です。
MVVを設定するためには、社会や顧客の求めるものを分析し、将来的にはどのような事業の需要があるのか、企業として見通しを立てる必要があります。
バリューチェーン分析
DX戦略に役立つフレームワークの4つ目は、バリューチェーン分析です。バリューチェーン分析は、サプライチェーンの工程ごとに、どの段階で価値が創造されているかを分析・評価するために用いられる手法です。バリューチェーン分析を通じて、企業が提供する価値の源泉や各活動が、どのように連携して価値を創出しているかを分析することが可能です。
また、価値を生むプロセスにデジタル技術を適用することで効率化や競争力向上を図り、新しいビジネスモデルやサービスの開発も容易になるため、イノベーションの促進にも役立てられるでしょう。
ビジネスモデルキャンバス
DX戦略に役立つフレームワークの5つ目は、ビジネスモデルキャンバスです。ビジネスモデルキャンバスは、企業のビジネスモデルを以下9つの要素に分類し、それぞれの相互関係を明確にして構造的に把握する手法です。
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- 顧客セグメント(Customer Segments)
- 価値提案(Value Propositions)
- チャネル(Channels)
- 顧客関係(Customer Relationships)
- 収益構造(Revenue Streams)
- キーリソース(Key Resources)
- 主要活動(Key Activities)
- 主要パートナー(Key Partners)
- コスト構造(Cost Structure)
ビジネスモデルキャンバスをDX戦略に適用することで、デジタル技術やイノベーションが企業のビジネスモデルにどのような影響を与え、どのような価値を創造できるかを明確に理解できるようになります。また、潜在的な新規ビジネスモデルやデジタル技術の活用可能性を探求することが可能です。
DX戦略にフレームワークを活用する際の注意点
DX戦略にフレームワークを活用する際には、以下2つの注意点があります。
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- 定量的なデータを基にする
- 組織全体で共通認識を持つ
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
定量的なデータを基にする
DX戦略にフレームワークを活用する際の注意点の1つ目は、定量的なデータを基にフレームワークを埋めていくことです。定量的なデータを用いることで、情報の客観性が保たれ、より信頼性の高い分析が可能になります。主観的な意見や経験則など不安定な要素に基づいた戦略では、効果的な戦略を立案するのは難しいものです。
そこで、定量的なデータを基に分析することで、数値による比較や評価がしやすくなり、改善点や弱点を特定することができます。分析の精度が高まることで、迅速な意思決定や戦略策定が可能になるでしょう。
組織全体で共通認識を持つ
DX戦略にフレームワークを活用する際の注意点の2つ目は、組織全体で共通認識を持つことです。共通認識を持つことで、組織全体が一体感を覚え、協力体制を確立しやすくなります。DXは組織全体を変革するものであるため、過度なトップダウンのアプローチや一律的な考え方の押し付けでは、成功は難しいでしょう。
全従業員がフレームワークの目的や目標を理解し、それに沿った行動が取れるようになることで、効率的に業務を遂行し、戦略の達成に向けた取り組みへとつながります。また、共通認識を持つことで、従業員同士で互いに協力してDXについて学習し、成長を促進する効果も期待できます。異なる視点やアイデアを持ち柔軟性を持ったDX推進のアプローチをしていくためにも、全従業員の認識を統一しておくことが重要です。このためにも、経営者は「なぜDXを行うのか?」を繰り返し従業員に説き、共通認識を浸透させることが必要です。
まとめ
本記事では、DX戦略にフレームワークが必要な理由、DXフレームワークの基礎知識、DX戦略に役立つフレームワーク5選を解説しました。DXを推進するには、実践的なフレームワークを活用することで、施策の立案や進捗状況の把握が容易になります。そのため、フレームワークを活用してDX戦略を適切な手順で進めていくことが重要です。
インキュデータでも、こうしたフレームワークを活用し、DX戦略策定の支援を行っています。DX推進における自社の進捗状況を把握し、具体的なアクションにつなげていきたい方はぜひご相談ください。