PoC(Proof of Concept, 概念検証)の進め方を解説! -
新しい手法やアイデアを積極的に取り入れることはいいことですが、いざ進めてみると思わぬ障壁の存在や期待した効果にたどりつかないことがあります。事業において新たな試みに取り組む場合、PoCで効果検証やリスクの洗い出しをしてはいかがでしょうか。新しい取り組みにおいてPoCを行うことで、リスクやコストの軽減につながるでしょう。ただ、PoCは進め方を把握して的確に行わないと、十分な成果を得られません。
そこで本記事では、PoCの進め方や成功させるポイントを解説します。
PoCの進め方に関する基礎知識
ここでは、PoCの進め方に関する基礎知識として、以下の3つを解説します。
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- PoCの意味
- PoCのメリット
- PoCのデメリット
それでは、1つずつ解説します。
PoCの意味
PoC(Proof of Concept、概念実証)は、新しい手法・アイデアなどを実験的に試行・検証することです。新技術を活用したサービスの検証や、新しいコンセプトでの市場開拓など、幅広い場面で活用されます。例えば、以下の内容をPoCで検証します。
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- 手法やアイデアの有効性や費用対効果などを検証
- 手法やアイデアを技術的に実現できるかの検証
- PoCにて手法やアイデアの仕様や課題を整理することで、実現の具体性を検証
PoCのメリット
ここでは、PoCのメリットとして、以下の3つを解説します。
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- 新しい取り組みのリスク軽減
- 開発コスト削減
それでは、1つずつ解説します。
新しい取り組みのリスク軽減
新しい取り組みについて、技術的な実現可能性やニーズ、採算性を、PoCで事前に把握することが可能です。リスクを早い段階で把握すればその後の対応が容易になるでしょう。また、重大かつ対処が困難な課題があれば、早期撤退や別領域に転換することも視野に入れましょう。
開発コスト削減
PoCでは、新規事業が実現可能か小規模の予算で検証します。効果を得るためには不必要な機能の開発や、想定外の軌道修正を繰り返すことも、PoCで抑制できるでしょう。さらに、実現性の高い方針か判断でき、よりよい工程が明確になる点も、開発コストの適正化につながります。
PoCのデメリット
ここでは、PoCのデメリットとして、以下の2つを解説します。
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- 検証回数が増えた場合のコスト増
- 情報漏えいのリスク
それでは、1つずつ解説します。
検証回数が増えた場合のコスト増
PoCでは、トライ&エラーを繰り返します。そのため、検証回数が増えるほどコストも増加しがちです。特に検証が複雑になると、得られる成果がコストを下回ることや、コスト回収に想定以上の期間を要することもあるでしょう。よって、PoCではコストと効果のバランスを確認しながら取り組むことが欠かせません。
情報漏えいのリスク
PoCでは、情報漏えいのリスクにも注意しなければなりません。業務提携や協業でPoCを実施する際には、特に注意が必要です。情報漏えいのリスクを少しでも軽減できるよう、パートナーとは、PoCのための契約や秘密保持契約(NDA)などを結んでおきましょう。PoCのための契約を結ぶことで、PoCに係る料金や共同研究への移行を判断するタイミングなどをあらかじめ決定し、不要なトラブルを回避できます。また、PoCのパートナーを適切に選ぶことは、知見に関するトラブルを防止し、プロジェクト進行のスピードや柔軟性を担保するためにも欠かせません。
PoCの進め方
ここでは、PoCの進め方として、以下の4つを解説します。
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- 目的、ゴールの明確化
- 実施内容の決定
- 実証の実施
- 結果の評価
それでは、1つずつ解説します。
目的・ゴールの明確化
まずは、目的・ゴールの明確化を行いましょう。目的やゴールが不明確だと指針がブレるため、PoCを有効活用できません。また、PoCそのものを目的やゴールにしてはなりません。あくまでも、商用化や本格稼働させるための具体的な目標値や条件達成を目的・ゴールとして設定しましょう。併せて、PoC実施後の方針転換や、撤退する基準を設けるようにします。検証後に評価基準を設けると、それまでの金銭的・労務コストなどを考慮して評価が甘くなるのを防ぐためです。
実施内容の決定
目的・ゴールを踏まえて、PoCの実施方法などを具体化しましょう。その際には、ユーザ目線での体験の設計のみならず、従業員やバックオフィスなど提供側の体験も検証に組み込みましょう。サービスを受ける側と提供する側の導線が噛み合い、円滑な体験提供を目指す検証を行うようにします。
実証の実施
評価基準や検証項目を設定した上で、実証実験を行います。。実際のサービスで対象となるターゲットに利用表かをしてもらい、より客観的で精度の高いを目指します。
結果の評価
PoCの結果を評価しましょう。その際には、あくまでも感情的にならずに客観的に行うことが欠かせません。仮説と異なる結果が出ても客観的に結果を受け止めましょう。検証の結果判明した課題や問題点を可視化し、方針転換や撤退も含めて次のステップに向かいます。
PoCを成功させるポイントを解説
ここでは、PoCを成功させるポイントとして、以下の4つを解説します。
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- 最初はスモールスタート
- 実際に近い環境で検証
- フィードバックを受けて改善
- アウトソーシング先に過度に依存しない
それでは、1つずつ解説します。
最初はスモールスタート
PoCでは、最初から大規模な検証を実施すると、失敗した場合に大きな損失を被る上に、再度検証を行うためには準備・労力が余計にかかります。そのため、PoCの初期段階においてはコスト負担や時間などは最小限に抑え、スモールスタートで小規模な検証から行うとよいでしょう。
実際に近い環境で検証
PoCでは、新たなシステムや製品を使用する現場や、実際の運用環境に近い状況下で行いましょう。より本番に近い環境でPoCをしないと、客観的なデータが取れないため、リリース後に新たな問題点が発覚するおそれもあるかもしれません。最初から実際に近い環境で検証し、問題点を事前にできる限り発見して対処することが必要です。
フィードバックを受けて改善
PoCでは、モニターの人や現場の方から評価してもらい、製品やサービスの改善に役立てましょう。開発しても、実際に利用するユーザにとって使いにくくては意味がありません。実際にシステムや製品を導入した後では、問題が発覚してもやり直しがきかないので、最初から実際に使う人にPoCに参加してもらい、使い勝手などの意見をもらうようにしましょう。また、フィードバックの結果評判が芳しくない場合は、事前に設定した基準とも照らし合わせて方向転換・撤退を行う必要も出てくるかもしれません。その際には、感情に囚われず、客観的な視点をもって方向転換・撤退の判断を行いましょう。
アウトソーシング先に過度に依存しない
PoCの知識がない場合には、アウトソーシングの活用も有効ではあります。しかし、PoCに関して自分たちでは何も知らないまま外注すると、かえってコストが高くなる上に、検証の状況も分かりづらくなってしまうかもしれません。自社に最適なパートナーを選択するためにも、自分たちも事前にPoCの知識をある程度身につけておくことが必要です。
まとめ
本記事では、PoCの進め方や成功させるポイントを解説しました。PoCを行うことで、新しい取り組みのリスクやコストを軽減できます。実施する際には、目的・ゴールの明確化から結果の評価まで、進め方を理解しながら順を追って確実に行いましょう。また、なるべく実際の環境に近い形でPoCを行うことで、より課題や問題点を明確にできるはずです。
なお、インキュデータがデータ基盤構築をサポートした事例でも、PoCを実施した事例がありますので、参考にしてみてください。